遅れましたが
すんません、日付変わりましたが今週も無事更新です。ネタ切れなのは周知の事実。

room04 彼が愛した庭
彼と別れた日、ぽっかりと空いた空間を眺めて、初めて私の心にも同じ大きさの穴があいていることに気付いた。主がいなくなった7.8帖の洋室は、大海をさまよう浮かぶ流木のように悲しげだ。窓から見える木々でさえ、泣いているように見えた。
3つ年上の俊と知り合ったのは、大学1回生の時。サークルの歓迎会で彼から猛アタックを受け、そのまま流されるように付き合った。軽そうな見た目とは違いとても真面目で、趣味は盆栽と園芸というから、最初のデートで思わず笑い飛ばしてしまった。
彼の就職をきっかけに同棲を始めるとき、この部屋を決めたのは俊だった。前の住人が残したという立派な庭園に魅入られたようで、おとなしい彼が頑として庭側の部屋を譲らなかった。毎朝起きると、まず庭に立ちひとつひとつに話しかけるように水をやった。休日に新しい苗や種を買ってきては、大事そうに植えていた。私は、植物に接するときの俊のやさしい横顔が愛おしくてたまらなかった。日曜の夕方、二人でぼんやりと庭を眺めている時間が、この世に存在する最高の幸福に思えた。
庭にある木々が枯れ始めたのは、一緒に住み始めて1年がたった頃。彼は仕事の忙しさを理由に家を空けるようになり、庭の手入れでさえおろそかにし始めた。
私以外の女に会っている。
予め備わったメスの本能であろう、私は割とすぐその兆候に気付いた。俊に詰め寄ると、あっさりとその事実を認め、「別れよう」と告げられた。同じ部署で働く女の子のことが好きになった、その子は最近彼氏と別れたばかりでボロボロなんだ、里奈はしっかりしているから一人でも大丈夫だろう、その子には僕しかいないんだ、云々。意識が遠のく頭の中でそんな台詞が泳いでいた。何一つとして、私の体の奥には沁み渡らなかった。
そうして、この立派な庭がある家を出て行ったのが一週間前。私は大学にも行かず、茫然自失状態でこの家に引きこもっている。少しでも俊の想い出に抱かれたくて、布団だけおいたこの庭側の洋室で日々を過ごす。窓から見える木々は冬の寒さもあいまってか、さらに所在なく見える。
「おまえたちも、愛してくれる人をなくしたのね」
ふと口をついたその言葉に、思わず涙が流れ止まらなくなった。泣き続け疲れたのであろう、いつの間にか眠りに落ちていた。目が覚める頃には、あたりは真っ暗になっていた。
まだ眠気の残る重い体を起こし、窓を開けた。からからと音がしたあと、ぶわっと冷たい風が入ってきた。体の芯まで凍らすような冷気に、意識が冴えわたっていくのがわかった。目の前には、夜風に吹かれながらもしっかり立っている木々。家賃のこともあるし、来月にはこの家を引き払わなくてはならない。こうやって思い出に浸るのも、そろそろタイムリミットだ。
夜露がかかったサンダルを履き、庭に下りた。そして、最後の儀式のように、彼らに水を注いだ。耳元で誰かに「ありがとう」と囁かれた気がした。
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さてさて、みなさん!
24日は「第一回最強失恋伝説決定戦!!」ですよ!
話すもよし、聞くもよし!その失恋エピソード、みんなで共有しましょう!!
優勝候補だった私ですが、当日は仕事で不参加です。しょんぼり。
聞きたい!っていう特異な人は個別にどうぞ。
(naomi)














