世界民音 第六音 「野外クラシックフェス」

世界の民族音楽
どうも、世界の民族音楽でございます。
ここのところは民族音楽系コンサートが多いですね本当。
探せばどっかで毎日あるといっても過言ではないぐらいです。
今週は今週で日曜日(6/6)にTirta Kencanaによるガムランコンサート(@甲賀市)、
同日夕方には岸和田で関西バリ舞踊祭が行われますしね。
関西がバリ島一色に染まりますよ。それは言いすぎか。

さて、では先週のコンサートのライブレポをしつつ、
インドでの実際のコンサートってどんな感じ、という話をしましょう。

日本人にとって「日本の伝統音楽」あるいは「クラシック音楽」のコンサートと言えば、
うるさく喋っちゃダメ、音楽が終わるまで身動きしてはいけない、
場の雰囲気に合わせて拍手しなければならない、などなど様々なマナーがあります。
まあそれはそれでいい文化なのですが。

じゃ、インド人にとって「インドの伝統音楽(クラシック)」のコンサートはどうかといえば、
よほど高名な人がステージにいない限り、
まるで野外フェスのような騒々しさを呈しております。
音楽が始まるまではワイワイガヤガヤしており、
ミュージシャンが入ってきてもワイワイしてます。
そして「アーラープ」と呼ばれる、前半のテンポのないゆったりした演奏部が始まっても、
まだワイワイしている。
けどいつの間にか静かになっている。
むこうの人は「気付いたら音楽が始まってたから、じゃあ聞こか」というぐらいのノリです。
そんなに適当でいいのか、と思いますが、まあなんというか、インドらしいです。
けど、聞き始めたら聞き始めたで観客の方も非常に真剣に聞きます。
演奏がうまければ「キャバ!」というかけ声をかけて褒めますし、
演奏が下手ならばモノを投げつけたりブーイングしたりします。
評価が如実に現れる世界ですね。
演奏者と聴衆が音楽上では対等な関係にある、といってもいいでしょう。

インドのコンサートでは、「シタール:だれだれ タブラ:だれだれ」という感じで、
演奏家の名前だけは分かっているんですけど、何を演奏するか、曲目は知らされません。
インド古典音楽は即興ですから、以前説明した「ラーガ」がいわば曲にあたるのですが、
それをあえて知らされません。これも不思議なことですね。
じゃ、どうやって楽しむのか、というと、その「アーラープ」の部分を聞いて、
「むっ、音がこう上がってこう下がるということは、さてはラーガ・バイラヴやなッ!」
ということを当てるのがまず聴衆が一番初めにやることだそうです。
なので初めの部分では純粋に音の配列だけを聴いている。
それが音楽的にどうこうということより、まずラーガが何かを当てるために聴く。
この習慣も我々からすると非常に不思議なんですけどね。
そんなめんどくさいことするんやったら、
最初からラーガ教えてもらえばええやんと思うんですが。
けどこれは、インドの聴衆がちゃんと音楽的知識があるからできる芸当です。

先週金曜日のシヴクマール・シャルマ氏のコンサートでは、
大半が日本人の聴衆、1割ぐらいインド人の聴衆だったため、
最初に「ラーガはラーガ・マルワで、ターラはティンタール(16拍子)です」
というようなことを英語で言ってからのコンサートで、
コンサートも非常に礼儀正しく行われたのですけれど。

けども、日本に合わせていてもインドっぽいわ~と思ったことがひとつありまして。
今のインド古典音楽は、どんどんマイクを使うんですよ。
タブラももともと音の小さい楽器ですし、
シタールやサントゥールもそう遠くまで響くわけではない。
それを大きなホールで響かせようと思ったら、
マイクで音を拾って大きくする必要があるわけですが、
その音量の大きさが尋常ではない。
もうほぼロックコンサートと同様といってもいいぐらい。
インド本国に行くともっとすごくて、ほかに何も聴こえないぐらいだそうです。

あと、そう、インド本国のコンサートのもうひとつぶっ飛んだ特徴として、
コンサートの時間帯が少々変わっているというのがあります。
夜8時ごろから開始。まあこれは全然ふつうです。
終了はいつか。
朝5時ごろ。
夜通しぶっ通し。
7時間にもわたるコンサートが平気で行われます。
まあ、1曲あたりが30分~1時間ですから、それでも10曲ぐらいですし、
「ラーガ」は時間帯に合わせて聴かれますから、朝のラーガは朝にしか聴けないのです。
などの理由があってそういうコンサートになっているのだと思いますが。

で、当然そんな長いこと聴いていたら、
まあもともとインド音楽は結構聴いてて(いい意味で)眠くなる音楽ですので、
深夜になってくると、寝たくなった人はホールのうしろの方に行って寝るそうです。
その大音量のなかでどうやって寝られるのかは分かりませんが、
暗黙の了解で、後ろの方は寝る人用スペースになっているとか。

こういう、「音楽を聴く」という目的からすればかなりズレているように思えることが、
むこうのコンサートでは常識なわけですが、やはり何か我々の思う「音楽」と、
むこうの人が古典音楽で目指す「音楽」というのは根本的に違うな、と思いました。
耳の快楽がどうこうというより、精神的なものを追求する感じがある。
インド古典音楽では、曲の最後はありえないぐらい速いテンポになって、
金曜のコンサートでは、タブラが手首が壊れたような速さでバババババババと叩いていて、
うっわこれまじっすかという衝撃を受けたんですが、
目指すものが(西洋の)「音楽性」とは違う何か別ベクトルのもののような気がします。
とはいえ、もちろん何も知らないで聴いても美しい部分もたくさんあり、
通じるとこはちゃんとありますけれどね。

ちなみに、シヴクマール・シャルマ氏はインドの打弦楽器、サントゥールの名手で、
サントゥールについては紙面の都合上今回はちょっと紹介できません。
サントゥールはペルシアにルーツのある楽器なので、
また今度西アジア編になったときにご紹介します。
金曜のコンサートと同じ、シヴクマール・シャルマ氏と、
タブラのラムクマール・ミシュラ氏の組み合わせの動画はコチラです。
実際に見たときはこの2倍ぐらいの速度で叩いていた気がする。いや、マジで。

さて。
まだまだ語るべきことはありますが、「インド編」は今週でいったん終えて、
次週からはインドのお隣、「西アジア編」に入ることになります。
インド音楽はアラブ音楽やペルシャ音楽の影響も受けていますので、
関連性を見ていくと、より深く理解することもできますし。
こんな調子でいろいろな世界の民族音楽を見てまわっていこうと思います。
またインド音楽について詳しくなったら、いずれ戻ってきますが。
ではでは、また次週。

明日は「今宵、スナックキャロルで」ですよ。

******************************************
いままでの記事
2010-4-22 第一音 「民族音楽の魅力」
2010-4-29 第二音 「哲学の極致、インド古典音楽」
2010-5-13 第三音 「あの人、シタールしたはるわ」
2010-5-20 第四音 「破門の危機と隣り合わせでお送りします」
2010-5-27 第五音 「インド人のツボ」

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 世界民音 第六音 「野外クラシックフェス」
Bookmark this on Delicious
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed

連載まとめ読み ~SCRAPブログの正しい読み方~


  • バックナンバー販売! フリーペーパーなのに
    バックナンバー販売します。

    京都に来られない地方の方にはなんと販売してしまおうという大胆不敵!各号在庫がなくなり次第販売終了となります。おっ早めにー

  • ボランティアスタッフ募集 ボランティアスタッフ募集

    人の力が必要なのです。「なに?なに?おもしろそう!」となんにでも興味をもってくれる人募集中!あなたの意見が、社の方針を変えるかも!?

  • スクラップのグッズ スクラップのグッズ

    失恋回復手帳とか、ナゾトキCDとか、社歌とか、なんの共通点もないけれど、全部SCRAPグッズ!ぜーんぶ絶賛発売中!

  • Wedding SCRAP Wedding SCRAP

    あなたの結婚式に“不思議”はいりませんか?参加者全員に「楽しかった!」と行っていただけるような仕掛け。SCRAPが一緒なら実現できます。

  • 広告・スポンサー募集 広告・スポンサー募集

    広告絶賛募集中!謎イベントが好きな層には絶大な影響力あり〼。イベントの協賛、スポンサーは毎日首を長くして待っております。

  • © SCRAP All Rights Reserved. Privacy Policy

    Site design:Marble.co