現場捜査ゲーム 解説
●刑事の推理
STEP1 自殺か他殺か
さて、まずは現場捜査の基本、死体から調べることにしよう。
死体には【首を引っ掻いた痕】があるので、誰かに無理やり首を締(し)められた疑いがある。イスの高さと、地面から吉川の足との距離(きょり)を考えると、イスを元に戻しても吉川は【浮いている】。
つまり吉川がイスに乗り、首をつったと考えると【ロープ】が短すぎる。
死体の周りには【イス】しかないので、その上に何かが置いてあったとは考えられない。
これらのことから以下の推論を導く推理をすることができる。
死体には【首を引っ掻いた痕】があるので、誰かに無理やり首を締(し)められた疑いがある。イスの高さと、地面から吉川の足との距離(きょり)を考えると、イスを元に戻しても吉川は【浮いている】。
つまり吉川がイスに乗り、首をつったと考えると【ロープ】が短すぎる。
死体の周りには【イス】しかないので、その上に何かが置いてあったとは考えられない。
これらのことから以下の推論を導く推理をすることができる。
この状況は【他殺】である。
STEP2 誰が犯人か
では、犯人は誰なのか。まずは今回の事件のことを一番よく知る通報者の話に注目してみよう。
証言によると染谷は【劇団員メモ】の位置を知っていたが、いつ見たのだろうか。
楽屋の扉は【内開き】であり部屋の外からそれを見ることはできない。よって反省会の時にそれを見たとしか考えられない。
しかしそうなると、おかしなことになる。【マスキングテープ】をよく見ると、
3枚の紙は、最初に【雑誌の切り抜き】、次に【遺書】、最後に【劇団員メモ】の順に貼(は)られている。
自殺でないことはすでにわかっている。生きている吉川の目の前で犯人が吉川の遺書を貼るはずがないので、遺書は吉川の殺害後に貼られたと考えられる。
つまり【劇団員メモ】は遺書のあとに貼られた物である。
さらに「ポスターの公演情報」と、「反省会が【1時間】」だったという情報を組み合わせると、第1部の舞台の終了と第2部の開演までの間に、およそ【1時間】の空白の時間が現れる。
【雑誌の切り抜き】に書かれている情報からわかる通り、その時間は誰も楽屋に近付かない。
吉川の死後にこの楽屋の中にいなければ知り得ない情報を知っていた人物、そして犯行が可能だた空白の時間の存在。これらのことから以下の結論にたどり着く。
証言によると染谷は【劇団員メモ】の位置を知っていたが、いつ見たのだろうか。
楽屋の扉は【内開き】であり部屋の外からそれを見ることはできない。よって反省会の時にそれを見たとしか考えられない。
しかしそうなると、おかしなことになる。【マスキングテープ】をよく見ると、
3枚の紙は、最初に【雑誌の切り抜き】、次に【遺書】、最後に【劇団員メモ】の順に貼(は)られている。
自殺でないことはすでにわかっている。生きている吉川の目の前で犯人が吉川の遺書を貼るはずがないので、遺書は吉川の殺害後に貼られたと考えられる。
つまり【劇団員メモ】は遺書のあとに貼られた物である。
さらに「ポスターの公演情報」と、「反省会が【1時間】」だったという情報を組み合わせると、第1部の舞台の終了と第2部の開演までの間に、およそ【1時間】の空白の時間が現れる。
【雑誌の切り抜き】に書かれている情報からわかる通り、その時間は誰も楽屋に近付かない。
吉川の死後にこの楽屋の中にいなければ知り得ない情報を知っていた人物、そして犯行が可能だた空白の時間の存在。これらのことから以下の結論にたどり着く。
犯人は【染谷】である。
STEP3 密室のトリック
染谷が吉川を殺し自殺に見せかけたあとに密室にして出たのは間違(まちが)いない。ではどうやって密室状態を作ったまま部屋を出たのかを考えていこう。この部屋には人が通れそうな場所が窓と扉の2つあるが、【窓】は【はめ殺し】なのでそもそも出入りは不可能。また抜け穴などもない。
すると楽屋の外に出てから、【金庫】で【扉】を塞(ふさ)いだと考えることができる。
では【金庫】はどうやってそこに置かれたのか。
別の観点から状況(じょうきょう)を整理してみよう。空白の時間、吉川は作業をしていたはずだ。【キャスター付き棚】の下にある作業時に落としたと思われる【レコーダー】と、【雑誌の切り抜き】に書かれている情報から、吉川は染谷に襲われる直前まで【セリフの修正】をしていたことがわかる。
そして吉川はこの行動をしている時間は、雑誌にも書かれているが【特殊な状況】でないと集中できない。
さらに襲われる直前の【録音された音声】から、吉川が【照明のリモコン】を押したことがわかるが、吉川の言葉から【照明】を【消した】とは“考えられない”。
つまり特殊(とくしゅ)な状況とは【真っ暗な】状況であることがわかる。
すると楽屋の外に出てから、【金庫】で【扉】を塞(ふさ)いだと考えることができる。
では【金庫】はどうやってそこに置かれたのか。
別の観点から状況(じょうきょう)を整理してみよう。空白の時間、吉川は作業をしていたはずだ。【キャスター付き棚】の下にある作業時に落としたと思われる【レコーダー】と、【雑誌の切り抜き】に書かれている情報から、吉川は染谷に襲われる直前まで【セリフの修正】をしていたことがわかる。
そして吉川はこの行動をしている時間は、雑誌にも書かれているが【特殊な状況】でないと集中できない。
さらに襲われる直前の【録音された音声】から、吉川が【照明のリモコン】を押したことがわかるが、吉川の言葉から【照明】を【消した】とは“考えられない”。
つまり特殊(とくしゅ)な状況とは【真っ暗な】状況であることがわかる。
これで密室のトリックを解く条件がすべて出揃った。
LAST STEP
STEP2で推理した吉川の死亡推定時刻と、STEP3の推理を組み合わせると、現場でおかしな点が1つ浮かび上がる。この事件を紐解く糸口は、最初から我々の目の前にあったのだ。
報告1:STEP2と3の推理を組み合わせ出てきた現場のおかしな点。そこから導かれる染谷が密室を作る上で使ったものとは?
カーテン
報告2:報告1で報告したものの使用法とは?
カーテンを金庫の下に敷き、自分が外に出てからカーテンを引き金庫で扉を塞いだ
●物語上の時間軸
5月20日(月)
舞台初日
吉川が粗大ゴミを回収 劇場のシートに記入
染谷が楽屋に白布があることを確認
舞台初日
吉川が粗大ゴミを回収 劇場のシートに記入
染谷が楽屋に白布があることを確認
5月23日(木)
粗大ゴミを業者が回収
粗大ゴミを業者が回収
5月24日(金)
吉川、病院で処方薬もらう
11:30 第1部開場 観客入場
12:00 第1部公演開始
13:30 公演終了 観客退場 演者は反省会開始
14:20頃 染谷が楽屋に入り反省会(オープニング)
14:30頃 染谷が楽屋から出る 反省会終了
吉川は部屋を真っ暗な部屋で集中し、次の台本「演じすぎた男」のセリフを調整
15:00頃 染谷が再び楽屋に入り、吉川を殺害。偽装工作を行う
楽屋にある白布と金庫で密室を作ろうとしたところ、布が無くなっていたのでカーテンで代用
密室をつくる
第2部開場 観客入場
15:30 第2部公演開始
17:00 公演終了 観客退場
17:15頃 吉川の楽屋の前に劇団員がたまる。「返事がない。扉あかない」
18:00 染谷が代表して警察に電話
18:20 警官が現場に急行 染谷ともに楽屋の扉を押しあける
死体発見 応援要請 染谷は隣の部屋で待機させられる
18:30 刑事(あなた)到着
18:46 日没
19:10 捜査終了
19:30頃 染谷追い詰められる。自白。(エンディング)
吉川、病院で処方薬もらう
11:30 第1部開場 観客入場
12:00 第1部公演開始
13:30 公演終了 観客退場 演者は反省会開始
14:20頃 染谷が楽屋に入り反省会(オープニング)
14:30頃 染谷が楽屋から出る 反省会終了
吉川は部屋を真っ暗な部屋で集中し、次の台本「演じすぎた男」のセリフを調整
15:00頃 染谷が再び楽屋に入り、吉川を殺害。偽装工作を行う
楽屋にある白布と金庫で密室を作ろうとしたところ、布が無くなっていたのでカーテンで代用
密室をつくる
第2部開場 観客入場
15:30 第2部公演開始
17:00 公演終了 観客退場
17:15頃 吉川の楽屋の前に劇団員がたまる。「返事がない。扉あかない」
18:00 染谷が代表して警察に電話
18:20 警官が現場に急行 染谷ともに楽屋の扉を押しあける
死体発見 応援要請 染谷は隣の部屋で待機させられる
18:30 刑事(あなた)到着
18:46 日没
19:10 捜査終了
19:30頃 染谷追い詰められる。自白。(エンディング)
●染谷の本来の計画
吉川はいつか殺さなければならない。僕はそう思っていた。決定的だったのは僕のアイデアを盗んだことがわかった24日。反省会での態度によってはまだ殺さなくてもいいと思ったが、クソ役者と言われ殺す決心がついた。すでに計画の準備自体はしていたので、その時、僕の計画は動き出した。
吉川を殺すのであれば、自殺に見せかけるのが一番だ。自殺として処理されれば僕らに疑いがかかることはないだろう。
反省会中に殺してしまうと、廊下にまだ劇団員がいるかもしれないので殺すことはできない。しかし舞台1時間前になれば誰も楽屋には近づかないので、その時間を狙うことにする。
まず反省会中に、隙を見てポケットに忍ばした睡眠薬を吉川のコーヒーに入れる。吉川はいつも睡眠薬を常備しているので、体内から睡眠薬の成分が出ても問題ない。睡眠薬は30分で効くので、一度楽屋を出て30分後に再び侵入する。
吉川が舞台の1時間前に楽屋を真っ暗にして作業することは周知の事実だ。その時間は誰も楽屋には近づかない。
つまり反省会中に睡眠薬を飲ませ舞台前の1時間に眠らせることができれば、簡単に殺すことができるというわけだ。反省会の前半に入ると反省会が終わる前に寝てしまうので、僕は最後に入ることにしよう。
そして30分経ったあと、暗くなっている楽屋にロープと四つ折りにした遺書をポケットに忍ばせて侵入。
楽屋に入ったら、まず壁に設置されている非常用ライトを使い吉川の位置を確認。そして睡眠薬で眠っている吉川を自殺に見せかけてロープで絞殺。
そのまま自殺に見えるよう死体を吊るし、筆跡を真似た遺書を壁に貼り、イスから飛び降りたように見せるため死体の近くにイスを倒しておく。そしてなぜか20日からずっと楽屋に置いてある白布を使い、金庫をひきずって密室を作る。
そうすれば吉川が他の人に邪魔されないよう金庫で扉を塞いでから、自殺したように見せることができる。警察には僕が代表して通報し、自殺をほのめかしていたと言えば確実だろう。
計画は完璧だ。
反省会中に殺してしまうと、廊下にまだ劇団員がいるかもしれないので殺すことはできない。しかし舞台1時間前になれば誰も楽屋には近づかないので、その時間を狙うことにする。
まず反省会中に、隙を見てポケットに忍ばした睡眠薬を吉川のコーヒーに入れる。吉川はいつも睡眠薬を常備しているので、体内から睡眠薬の成分が出ても問題ない。睡眠薬は30分で効くので、一度楽屋を出て30分後に再び侵入する。
吉川が舞台の1時間前に楽屋を真っ暗にして作業することは周知の事実だ。その時間は誰も楽屋には近づかない。
つまり反省会中に睡眠薬を飲ませ舞台前の1時間に眠らせることができれば、簡単に殺すことができるというわけだ。反省会の前半に入ると反省会が終わる前に寝てしまうので、僕は最後に入ることにしよう。
そして30分経ったあと、暗くなっている楽屋にロープと四つ折りにした遺書をポケットに忍ばせて侵入。
楽屋に入ったら、まず壁に設置されている非常用ライトを使い吉川の位置を確認。そして睡眠薬で眠っている吉川を自殺に見せかけてロープで絞殺。
そのまま自殺に見えるよう死体を吊るし、筆跡を真似た遺書を壁に貼り、イスから飛び降りたように見せるため死体の近くにイスを倒しておく。そしてなぜか20日からずっと楽屋に置いてある白布を使い、金庫をひきずって密室を作る。
そうすれば吉川が他の人に邪魔されないよう金庫で扉を塞いでから、自殺したように見せることができる。警察には僕が代表して通報し、自殺をほのめかしていたと言えば確実だろう。
計画は完璧だ。
●ギャラリー
・カーテンレール
カーテンから漏れる光を抑えるため、吉川は黒いテープで隙間を塞ぎ、カーテンも止めていた。
カーテンから漏れる光を抑えるため、吉川は黒いテープで隙間を塞ぎ、カーテンも止めていた。

・粗大ゴミについて
染谷が本来使おうとしていた白布は、事件の前日に業者が回収済み。24日の反省会中にはすでになかったが、強い殺意で気がつかなかったのだろう。


染谷が本来使おうとしていた白布は、事件の前日に業者が回収済み。24日の反省会中にはすでになかったが、強い殺意で気がつかなかったのだろう。


・落ちているボタン
吉川のズボンのボタンを見るとボタンが取れている。落ちていたボタンは犯人のものではなく吉川のものだ。殺される時に取れたのだろう。
吉川のズボンのボタンを見るとボタンが取れている。落ちていたボタンは犯人のものではなく吉川のものだ。殺される時に取れたのだろう。

・雑誌
壁に貼られていた「雑誌の切り抜き」はここから切り取られたものだ。

壁に貼られていた「雑誌の切り抜き」はここから切り取られたものだ。

・金庫の足
金庫の足には、カーテンを敷いて引っ張った時についた繊維が付着している。

金庫の足には、カーテンを敷いて引っ張った時についた繊維が付着している。

2019/12/15更新