降りやまない雨 STEP0_1
猫を追いかける途中で、あなたは大学に向かっているのであろう知り合い3人組と遭遇し、声を掛けられた。
「そんなに急いでどうしたんだ?」
「猫だよ! 前の黒猫!」
あなたはそう言って走り去る。
そんなあなたの背中を見ながら、「黒猫?」「何言ってんだ?」「変なの…」と皆首をかしげていた。
水たまりをバシャリと踏み、地図にない小道をたどり、ようやく行き着いたのは、「ひより神社」だった。
境内に入った猫を追いかけて、あなたも足を踏み入れる。
外とは違う神社特有の張り詰めた空気。そこには10代前半くらいの女の子が立っていた。
「お待ちしていました。私は“あお”と申します。突然ですが、あなたにお願いしたいことがあるのです… 妹を探してほしいんです…!」
「え!? いやちょっと待って、展開が早すぎてついていけないよ!」
「それは…失礼しました。…でも、時間がないのです!」
「(初めて会った人に、いきなりそんな頼み事する? 面倒だしいい感じに断ろう…)」
会ったばかりの女の子からの唐突な頼みに困惑しつつ、あなたは、あおと名乗る女の子に向けて言った。
「ごめんね。妹さんを探してほしいみたいだけど、僕はこの後授業があるから… 」
どうにかこの場を切り抜けようとしたあなたであったが、断ろうとする雰囲気を察したのか、すかさずあおが口を開いた。
「実はあなたが追っていた黒猫は、選ばれた人にしか見えない神の使いなのです。もし私の妹を見つけてくれたら、それ相応のお礼をします。どうしても、あなたにしかお願いできないのです……。どうか、妹を見つけていただけないでしょうか?」
選ばれた人にしか見えない猫、神の使い… とても信じられない話に更に不信感を抱きつつも、あおの切羽詰まった様子から、冗談のようには感じられなかった。
少し悩んだ後、授業も休めるしいいかと思い、承諾することにした。
「わかりました。ただし、明日は朝から授業があるので、今日だけだよ!」
「ありがとうございます!!! よろしくお願いします! あ、私のことは“あお”と呼んでください」