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  2. 【5分間リアル脱出ゲーム クトゥルフ神話】制作秘話

【5分間リアル脱出ゲーム クトゥルフ神話】制作秘話

※以下には、『5分間リアル脱出ゲーム クトゥルフ神話 名状し難い書店“ないあ堂”からの脱出』の結末を含むネタバレがあります。
ぜひ本編を最後まで遊んでからお読みください。

このたびは『5分間リアル脱出ゲーム クトゥルフ神話 名状し難い書店“ないあ堂”からの脱出』をお楽しみいただき、ありがとうございます。 ここでは、各章に散りばめられた小ネタや原作とのつながり、制作の裏話などをご紹介します。クトゥルフ神話がお好きな方にも、本作をきっかけに興味を持ってくださった方にも、お楽しみいただけたら嬉しいです。


序章

ニャルラトホテプは「千の貌を持つ」とされ、さまざまな姿で人々の前に現れます。本作では、人の姿をした化身が、書店「ないあ堂」の店主を務めています。第3章の冒頭では、その人の姿が一瞬崩れかける場面も。

イベントとして開催されたリアル脱出ゲーム×クトゥルフ神話『混沌に這い寄る教団からの脱出』にもニャルラトホテプが登場しますが、その姿や雰囲気はまったく異なります。

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第1章「アーカムの魔女屋敷からの脱出」

クトゥルフ神話といえば、アーカムは外せません。数々の物語の舞台となり、クトゥルフ神話の世界が広がっていく起点ともいえる場所です。

この章の舞台は、H・P・ラヴクラフトの小説『魔女の家の夢』に登場する屋敷。主人公は、魔女ケザイア・メイソン(老婆)がこの屋敷で暮らしていた時代へと迷い込みます。

屋敷の地下について、原作に詳しい設定はありません。本作では独自の解釈として、グールの棲む洞窟へ繋がっているという設定を加えました。ケザイアが儀式のために生贄を捧げ、グールがその死体を食べる……そんな関係をイメージしています。

物語の最後、主人公はケザイアに追い詰められ、あわや命を落とすところまで追い込まれます。しかし、そこで店主……ニャルラトホテプから「待った」がかかります。ニャルラトホテプを信奉するケザイアにとって、その言葉は絶対。主人公は間一髪で生き延び、書店へ戻ることができました。

とはいえ、助けられたのは「今は私の相手をしてもらっているから」にすぎません。書店から脱出したあと、夢の中にケザイアが現れ、『魔女の家の夢』のような出来事に巻き込まれる可能性も……。

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第2章「『由緒正しい』インスマスからの脱出」

アーカムと並んで外せない場所が、港町インスマスです。インスマスの住民たちはひどく排他的。誰かの助けを期待することはできず、主人公は自分の力だけで脱出方法を探さなければなりません。

そして、インスマスといえば「血筋」。この章につけられた「由緒正しい」というタイトルがお気に入りです。深きものどもへと連なる忌まわしい家系図を、謎解きへ落とし込んでくれた制作者にも感謝しています。

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第3章「海底眠るルルイエからの脱出」

「クトゥルフ神話」の名にもなっている神・クトゥルフ。そのクトゥルフが眠る場所が、海底都市ルルイエです。

これまで2冊のガイドブックで死の恐怖にさらされてきた主人公が、次のガイドブックを開きたくなくなるのは当然です。ところがこの章では、未知の古代遺跡に心を奪われ、思わず奥へ進みたくなってしまう主人公が描かれています。本来なら好奇心よりも死の恐怖が勝るはずですが、主人公はすでに少しずつ、正常な感覚を失い始めているのかもしれません。

また、クトゥルフ神話の恐怖とは、強大な事象や存在を前にして、人間がいかにちっぽけな存在であるかを思い知らされることだと個人的に考えています。なので、強大な神クトゥルフを実際に見てしまったら、あまりの恐怖でその先普通に生きていくことができない(物語続行不可能)と思います……だから登場させたら終わってしまう……。ですが、せっかくならその選択肢も欲しい、そんな気持ちで謎解きには全然関係のない分岐が生まれました。クトゥルフに出会ってしまったらおしまいなので、ニャルラトホテプ的にはそれでは面白くないということで、ちょっと助言してくれたりしてます。

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第4章「偉大なる図書館からの脱出」

この章は、本書では数少ない「交流パート」のひとつ。制作チームでは「ほのぼのパート」と呼ばれていました(結末を考えると、まったくほのぼのではないのですが)。すべての怪物がただ恐ろしいだけではなく、なかには意思を通わせられる存在もいると、主人公が知る章です。

奇妙な生物(イスの偉大なる種族)は、精神を時空の彼方へ送り、さまざまな時代の知的生命体と交換することで、あらゆる時代や種族の知識を集めています。彼らと体が入れ替わってしまった(精神を交換された)主人公は、筆談を通じて交流していきます。

自分の体がまったく異なるものに変わっている状況は、想像を絶する恐怖でしょう。しかし彼らは、少なくとも協力的な相手へむやみに危害を加える種族ではないため、意思を通わせることができました。

なお、この言語解読謎は、西暦3000年ごろになると修正が必要になります。誰かが直してくれたら嬉しいなぁ。

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第5章「行先知らずの狂気山脈からの脱出」

イベントとして開催された、リアル脱出ゲーム×クトゥルフ神話『狂気の山脈からの脱出』では、2026年の狂気山脈でミ=ゴと遭遇しました。一方、今回の書籍で舞台となるのは、それよりも古い時代の狂気山脈。狂気山脈のショゴスは意思疎通ができないので、主人公にとって非常に危険な存在です。てけり、り。てけり、り。

また、この章では、巻末のアイテムを実際に使いながら解く謎となっています。いかがでしたでしょうか?

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第6章「影迫るミスカトニック大学からの脱出」

ミスカトニック大学といえば、やはり図書館長ヘンリー・アーミテッジの登場は欠かせません。

この章も、第4章と同じく「交流パート」のひとつです。主人公は図書館職員の女性やアーミテッジと協力し、ビヤーキーに乗って現れたハスターの信奉者と対峙します。

物語の最後、図書館職員は「この呪文があれば……あいつを……」とつぶやきます。この「あいつ」とは、おそらく彼女に嫌がらせをしていた同僚・エゼキエルのこと。実は彼女は、同僚へ復讐する方法を手に入れるため、アーミテッジに隠れて闇の魔導書『ネクロノミコン』を探していたのです。

果たして「エゼキエル」を破滅させる呪文はあったのでしょうか。もし見つけていたとしたら、彼女はその後……。それはきっと、私たちが知らなくてもよいことでしょう。

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第7章「ほし輝く幻夢境(ドリームランド)からの脱出」

ドリームランドといえば、やはり猫。月面を埋め尽くさんばかりの、たくさんの猫たちです。

この章では、主人公が大勢の地球猫と力を合わせて戦います。物語の構図は、H・P・ラヴクラフトの小説『未知なるカダスを夢に求めて』に描かれた月面での出来事を、強くオマージュしたものです。テキストは、猫をこよなく愛するシナリオ作家に執筆していただきました。

主人公と地球猫たちの前に立ちはだかるのは、土星猫とムーンビーストたち。そして、ムーンビーストが主人公を連れて行こうとする先には、ニャルラトホテプが待ち受けています。山頂の奥にいると語られる「何か」も、実は店主なのです。

第3章とは異なり、この章では店主からの助言はありません。主人公がしくじり、ドリームランドにいるニャルラトホテプ自身を目にして発狂してしまったとしても、彼にとってはそれもまた一興。形は違っても、自分を楽しませてもらっていることに変わりはないのですから。

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終章「名状し難い書店“ないあ堂”からの脱出」

最後の最後に脱出しなければならない場所。それは、この奇妙な書店「ないあ堂」そのものです。(「ないあ堂」という店名は、東京ミステリーサーカスにある書店「らんぷ堂」と、ニャルラトホテプの別表記である「ナイアルラトホテップ」を組み合わせて名付けられています)

終章の大謎を考える際には、いくつもの案が出ました。その中から選ばれたのが、「実は地球ではなく、月にいた」というアイデアです。

では、ここが月であることを、どのようにプレイヤーへ伝えるのか。制作中にはさまざまなアイデアが飛び交い、「窓の外に星条旗が立っている」という案もありました。しかし、この案を成立させるには「地球上から星条旗がすべて消えている」という無茶な条件が必要だったため、すぐにボツとなりました。

そしてエンディングについて。
イスの偉大なる種族との入れ替わりがもたらす本当の恐ろしさは、彼らと対峙している最中ではなく、元の体へ戻ったあとに訪れます。自分が別の体に入っている間に、いったいどれほどの時間が流れていたのか……。

神話的な事象に関わってしまった以上、何もなかったかのように元の生活、元の人生へ戻ることはできない。それもまた、クトゥルフ神話ならではの恐ろしさです。だからこそ、この物語はあのようなエンディングを迎えました。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
制作秘話を読んで、より本書をお楽しみいただけたなら幸いです。
またいつか、別の書籍で皆さまにお会いできることを楽しみにしております。

SCRAP出版

 

 

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