狂気の山脈からの脱出 謎カード 正解
僕たちは救助ヘリに乗り、南極基地に戻ってくることに成功した。
……ヘリに連絡をしてくれた相手が乗ってこなかったことだけが、懸念ではあるけれど。化け物を倒す方法について考えていたようだし、別の方法で下山したのかもしれない。あるいは他のヘリで戻ってきたのかも……。
心のどこかに引っ掛かりを残しつつ、僕は基地にいるお偉方に向けて報告をした。特に注目されたのは未知の燃料と「狂気山脈の化け物」についてだった。
「こちらが未知の燃料です」
「おお、これが……」
「小さくてもよく燃えるというのは素晴らしい。これは人類が大寒波を乗り越える一端となるかもしれない」
未知の燃料を見て、研究者たちは目を輝かせていた。
「……というわけで『狂気山脈の化け物』は健在でした。隊員ユリウスが殺され、食われるところをこの目で見ました。また、テッド・ムーア隊長はその死体を利用されていました」
「なんと……21年ぶりの出現だ」
「次に行く隊は気を引き締めていかねば……」
「ああ、化け物の対策についても十全な準備が求められる」
「帰ってきたのは4人だけ。やはり化け物は強大な力を持っているに違いない」
「え……?」
僕はその言葉に衝撃を受けた。じゃあ、連絡をとっていた「彼ら」は?
「ほ、他に戻ってきた人はいないんですか?」
「ああ。生還したのは君たち4人だけだ」
「で、でも、救助ヘリを呼んでくれた人たちが別にいたんです! 端末で僕たちとずっと連絡をとっていて……たしかにちょっと話が噛み合わない部分もあったけど……あれは、あれは一体……? 狂気山脈が見せた幻……? だとしたら、本当に救助ヘリが呼ばれているのはおかしい。じゃあ、幽霊? 山脈で死んだ先遣隊たちの霊が、僕たちを助けてくれたのか……?」
混乱する。頭が破裂しそうだ。目の前がぐるぐると回り始め……
「……もしかしたら」
「!」
そんな僕と目線を合わせて、老紳士がゆったりとした声で話しかけてくる。
「もしかしたら、それは『動く死体』だったのかもしれん」
「動く……死体……?」
「狂気山脈にいる……一種の怪異というか、奇妙な生物じゃ。命に関わるような怪我をしても動き続けられるが、炎に弱い。その脳を食べることで感染し、数が増える。だが、思考力なんかは生前と変わらん。そして、記憶が曖昧で自分が死んでいるという自覚はない」
「そんな、ものが……」
……彼らは本当に動く死体だったのだろうか? あんなに自然に僕たちと話していたのは、僕たちが頼っていたのは人外のものだったのだろうか……?
僕は胃のあたりが冷たくなるのを感じながら、その場に立ち尽くしたのだった。


