荷物に隠したラブレター(第二章 エンディング振り返り) 暗号を解き明かし、俺は無人の『妃 -KISAKI-』への潜入に成功した。 部屋の入口には令嬢のものと思しきケースが無防備に置かれている。特に中身を出した形跡けいせきもない。計画書通り、令嬢は部屋にいないようだ。 早速さっそく、宝石を頂戴ちょうだいするためケースに手をかけた。が、鍵かぎがかかっていて開かない。その時、廊下ろうかからこちらに近づく足音が聞こえた。令嬢の付き人だろうか。俺は慌あわててケースごと抱えて部屋を飛び出し、近くのトイレへと滑すべり込む。 ……まったく、一息だってつけやしない。が、ひとまず宝石を盗み出すことには成功した。ケースの解錠かいじょうはアジトに帰ってからゆっくり行なうとしよう。まずはここから脱出だっしゅつすることが優先だ。 その時、俺は気付いた。さっきまで読んでいた作戦計画書を令嬢の部屋に忘れてきたことに。駐車場に落としてきた他の資料とあわせ、すべての資料を紛失したことになる。 しかし、今更いまさら取りに戻もどる時間は無い。試験の合格条件には、計画通り19時までに脱出することも含ふくまれているのだ。 おまけに思い出した。脱出に関する指示は、駐車場で無くした方の資料に書かれていた。資料が入った封筒の見た目だけは覚えている。とりあえず封筒を探して脱出指示を確認するため、急いで2Fの駐車場に向かおう。今から向かえば、5分前には駐車場に到着とうちゃくするに違ちがいない。そこから封筒を見つけて中に書かれた指示にしたがえば……何とかギリギリ間に合うか? どうやら俺の怪盗人生にトラブルは付き物らしい。 前のページに戻る