荷物に隠したラブレター(第五章) トランクごと電波遮断用の特殊容器の中にロックし、事件の解決を報告するため部下に電話をかけます。 「爆弾は回収しました。たとえ起動しても、爆弾の電波は遮断され、データが破壊されることはないでしょう。まったく……警察をなめてもらっては困りますね」 「さすが警部! たった一人で事件を解決してしまうなんて」 事件を解決……? 果たして本当にそうでしょうか。どことなく嫌いやな予感がした私は、足早に階段を駆け下り、ホテルのスタッフルームを訪れました。 するとそこへ一人のボーイが飛び込んできます。 「すみません! 復旧したシステムで検索したら、僕、リンちゃんの荷物を取り違えちゃってたみたいなんです。まさか付き人さんが代わりに荷物を預けていたなんて、知らずに勘違いしちゃって。それに爆弾騒さわぎがあったって聞いて、何だか嫌な予感がして……」 「なるほど。詳くわしく話を聞かせてください」 彼の話を整理すると、私が回収したトランクはただの令嬢の荷物だったようです。つまり、入れ替わった本物の爆弾は令嬢の部屋に届けられたということ。しかし、さらに悪い知らせは続きます。 「だから僕、慌てて『“妃 -KISAKI-”』に向かったんですけど、そこに荷物は無くって。代わりに部屋にはこんな紙が……。エレベーターはまだ復旧まで時間がかかるみたいで、慌あわてて階段を駆け下りてきたんですが、何かの役に立ちますかね?」 渡わたされたのは、署内では有名なある怪盗団のマークがついた作戦計画書。確かこの組織は、必ず資料を封筒に入れて持ち運ぶはずですが……。その中身だけが部屋にあったということは、きっとマヌケな怪盗が落としていったものでしょう。そして、その怪盗こそが間違えて爆弾入りのトランクを盗んでいった犯人。警察としても犯罪者であるヤツを逃がすわけにはいきません。 次のページへ