Mystery for You アパルトマンと不機嫌な住人たち STEP3-3
「バラと最愛か…!ありがとう。これで明日自信を持って彼女に愛を伝えられるよ。」
そう言ってジャンは機嫌よく自分の部屋に帰っていった。
調査とは関係がないが、役に立てたようでよかった。
…いや? 私はそもそも大家さんに迷惑行為の犯人を報告するために彼に話しかけたはずだった。
改めて彼に報告をしなければ。
そう思い戻ろうとしたところに突然声をかけられた。
「犯人はわかりました?」
上の階に住むアンナだ。
「はい。犯人は大家さんの飼う猫でした」
するとアンナがこう答えた。
「あらやだ、うちの猫が?最近見当たらなくて心配していたの。それは悪いことをしたわね」
「…? いえ、大家さんの猫ですので」
「何をおっしゃっているの?私がこのアパルトマンの大家ですよ。1階2号室に来てくれたじゃない」
ああそうだ、すっかり忘れていた。
ここは日本ではないのだ。
パリと日本とは、建物の常識が少し違う。
「あぁ、そうでしたね、ちょっとした勘違いがあって。」
アンナから調査のお礼を伝えられ、このアパルトマンを後にしようとしたとき、心に引っかかるものがあった。
もしかしたら自分の勘違いによってジャンに間違ったことを伝えてしまっているかもしれない。
正しい花と、部屋にある青い本のタイトルの最初の2文字を続けて答えよう