Mystery for You ドキドキナゾトキ肝試し_09
湿った土の感触。背中に当たる小石の硬さ。
目を開けると、見覚えのある光景だった。肝試しのスタート地点だ。
「っ……!」
こめかみを押さえる。ずきずきする。頭の芯が軋むみたいだ。でも、手には何もつかない。血は出ていないようだった。
「……カズキ!」
慌てて周囲を見回すと、少し離れた場所にカズキも倒れていた。
ぴくりと肩が動き、やがて呻きながら上半身を起こす。
「っ、ぁ……」
カズキも頭を押さえていた。顔色は真っ青で、目の焦点もまだ定まっていない。
「さっきのは、夢、じゃないよね…」
そう言ってみたものの、夢ではないという確信があった。カズキの頭が潰される音、そして自分の頭に振り下ろされた岩の感触があまりに鮮明に思い出されたからだ。
「そうだったら嬉しいが、多分違う、よな……。俺たちは生き返った、というか…」
雲に隠れた月がちょうど頭上で微かな明かりを漏らしている。
肝試しの始めに見たのと同じだ。
「同じ夜を繰り返してる、って言う方が正しそうだよね」
不思議なもので、感覚としてもそう思った。
「謎解きに失敗したらスタートからやり直しってことなのかな。ゲームみたいだね」
冗談めかして言おうとしたが、上手く笑えなかった。
「失敗か……、答えが間違ってたのか?」
「多分あってた。どこかで間違えてたら最終キーワードはそもそも出て来なかったと思う」
「じゃあなんで…」
「タイムリミットみたいなものがあるのかな…。最終キーワードを言い切るまでに、ときこちゃんに見つかったらダメ…とか。ときこちゃんの都市伝説があるって言ってたよね、カズキは何か知らないの?」
一度極限の恐怖を味わったせいか、自分でも驚くほど冷静だった。
「いや、ネットで見ただけなんだ。ときこちゃんの幽霊にまつわる噂はたくさんあってさ。キャンプファイヤー中にひとり増えていたとか、テントの外に月明かりで照らされた影が、とか」
どれも、ありがちな怪談話だ。
「その中に、ときこちゃんは謎解きのことを恨んでいて、キャンプ場で謎解き大会をしたら殺されてしまう。でも、殺される前に謎解きの最後の答えを教えたら許してもらえる、っていうのがあったんだ。でもあまりにバカバカしい話だから、もちろん本気になんてしてなかったし、むしろそこから謎解き肝試しを思いついたくらいなんだけど…」
そこまで言って、自分のしでかしたことの重大さを実感したのか、カズキは口を閉じた。
「でもさ、スタート地点に戻ってきてるってことは、成功するまでやり直すことになるってことだよね。また同じ目にあうかもと思うとすごく怖いけど、でも私たちはもう全問解けてるわけだから」
そう言って手元の冊子に目を落とし、そう簡単でないことを悟った。