～第2章～

「見事1st Stage突破、おめでとうございます！ あなたは2nd Stageに挑戦する権利を得ました。○月×日にこの場所までお越しください。持物は不要です」

そんなメールが届いたのは、1週間後のことだった。
悠はあのあと謎を解き答えを送信した。しかし特に音沙汰はなく、やはり間に合わなかったのかと落ち込んでいたのだが、無事に16人の内に入ることができていたのだ。

「やったぞ……！」

彼はこの喜びを誰かと共有したかった。しかし、すぐそばにいる妹に伝えるには何だか気が引けた。
途中で敗退してしまえば、彼女をがっかりさせることになる。変に期待させないほうがいい。

「ねえお兄ちゃん！ この前の謎解きのやつ、もう正解者が16人出ちゃって締め切りだって。わー悔しいなあ～ せめて解説してほしいよねえ」

若菜は1人でキャッキャとしている。そうだ、これでいい。こっそりとやって、こっそりと終わろう。どうせ優勝は無理だろうから。
さて……いったい何が待ち受けているんだろうか。
久しぶりに楽しくなってきたじゃないか。

数日後、彼は都心部の巨大ビルの前にいた。

案内にあった通り中に入っていく。長い廊下や階段を下った先には関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉があった。そこを開けると、中には異様な空間が広がっていた。

「……!!」

巨大なホールのような空間には、ステージ、16個のテーブル、さまざまな演出が可能なライトや映像機器が並んでいた。もしデスゲームが開催されるとしたらこんな場所なのだろうか。
「こんにちは！ お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか？」
「あ、マチルダです」
「マチルダ様、ようこそお待ちしておりました！」

「マチルダ」というハンドルネームで答えを送信していた悠は、スーツを着た女性スタッフにテーブルへと案内された。

「それでは、こちらでゲームが始まるまでお待ちください！」

そこにはしっかりとマチルダと記載されたプレートが設置されていた。
周りにもちらほらと人が集まってきている。そうか、この人たちも謎解きに正解した強者なんだ……そんなことを考えていると、突如会場が真っ暗になり、ステージにライトが当たる。

「ハロー、エブリバディ！ この度は『ドリームゲーム』にお越しいただきありがとうございます！ こちらは我々ドリームゲーム事務局が行なうプロジェクトでして、世界でもっとも謎が解ける人を探すものとなっております。早速ですが皆様は、あの超難問を解き明かした16名様であります！ 素晴らしいですね…… ではせっかくなので1st Stageのランキングを見ていきましょう！」

怪しげな仮面をつけた司会者が話し終えるとともに、スクリーンに解答時間と名前が表示されていく。悠の順位は……2位だ！ 時間は、問題公開から46分57秒と書いてある。
やはりあのマンホールにたまたま気付けたのがツイていたようだ。しかし、さらに上がいる……。
1位のタイムは、32分18秒。名前は……「ドブネズミ」という人か。いったいどんな人なんだろう？
会場内を見渡し、辺りを探す。ドブネズミのプレートを見付けた。
そこには目深にフードをかぶった男がいた。かなり体格もよく、服の上からでも筋肉質であることがうかがえる。しかし黒いマスクとパーカーのフードが相まって顔がよくわからない。
やはり、あの謎を解いてきた猛者はオーラが違う。

「さあ、それでは皆様にさっそく2nd Stageについてご説明いたしましょう！ 2nd Stageの内容はこれだあ！」

ドーン！という効果音とともに、スクリーンに次のステージの問題が表示される。

「2nd Stageは『ナゾトキトーナメント』！ 今から皆様にはA～Hまでの8問を解いていただきます。そして、ここにあるトーナメント表をもとに、どの問題がどこに入るかを考え、正しく埋めてもらいます。左から順番に正しいアルファベットを答えることができれば正解！ しかし、このステージを突破できるのは先着8名のみ！ それではゲームスタートです！」

司会の掛け声とともにゲームが始まった。突破できるのは16人中8人のみ。
始まる前は、どうせ負けて終わるんだと思っていた。しかしいざ会場に着いたら、やる気がみなぎっていた。このドキドキ、久しぶりだ。
絶対にこのステージをクリアしてみせる！

【お詫びと訂正】
同封されているCの謎のデザインについて一部誤りがございました。誠に申し訳ございません。
正しい画像は下記をご参照いただけますと幸いです。
■Cの謎：＜見本＞の右上のチップの画像
【誤】

【正】