～最終章～

「2人が正解されましたので、4th Stageは終了となります！ 見事に4th Stageを突破された方々はこちらです！」

モニターに結果が表示される。

１位……ドブネズミ。2位……マチルダ。

なんとかこの死闘を切り抜け、進むことができた。

「よし、やったぞ!!」
思わず歓声をあげる。

「よお、さすがだな」

そこに、ドブネズミが初めて話しかけてくる。

「…ドブネズミさん！ そんな、あなたこそずっと1位通過じゃないですか… 一体何者なんだって思いますよ… はは…」

緊張を隠すようにおどけて答える。

「気になるか？」
「え？」

ドブネズミの返事にあっけにとられる悠。

「まーだ気付かねえのか？ 俺だよ、俺」
「小田切さん……！」

そこにいたのは、同じく害獣駆除業者の先輩だった。

「いやー、一番の難題は最初のホームページの問題だったけど、あの地区のマンホールに馴染みのある俺たちならすぐわかるよな。めちゃくちゃラッキーだったぜ。悪いけど負ける気ねえから、よろしく」
「あ、はい、えっ、あ……」

まさかドブネズミの正体は、よく現場で一緒になっていた小田切先輩だったとは。
彼は悠の背中をドンッと押して司会の元に向かっていく。

「さて、マチルダ様、ドブネズミ様。お2人は見事勝ち抜いてここまでいらっしゃいました。ファイナルステージにご案内いたします」
「……」

無言で司会者についていく。
いよいよファイナルステージだ。果たして、先輩に勝つことはできるのか……？

パァンッ、と2人にライトが当たる。

「やってまいりました！ こちらがファイナリストのお2人です!!」

バッと顔をあげると、そこには2人を囲む巨大なカメラがあった。

「な、何だこれは……!?」
「すみません。実はこれ……テレビ番組だったんですー！！！ 超大型特番、ドリームゲーム！ 実はその様子を、ずっと隠しカメラで撮影しておりました！」

特番？ テレビ？ ……状況が呑（の）み込めない。

「賞金は1,000万円。それを獲得するために頑張る一般の方々を追い続けるというのが今回の企画となっておりました。ビックリさせてすみません。」
なんとなく理解してきた。これまでのゲームはドッキリ番組で、ずっと隠し撮りされていたというわけか。そしてこのファイナルステージはカメラの前で堂々と行なうと。

「さて、それではファイナルステージはこのお2人に挑戦していただきます！」
しかし、そんなことよりも、
ファイナルステージの会場にいた司会者にくぎ付けになってしまった。

「益田……」

そこにいたのは今絶賛売り出し中の女優、益田嬉依。
なんと彼女がファイナルステージの司会者のようだ。
2人が顔を会わせていたのは小学生の頃。
時は流れ、今悠はボロボロの服のまま参加している。おそらく向こうは気付いていないだろう。
複雑な気持ちのまま、ファイナルステージに挑むこととなる。

「さあ、ここまで勝ち進んだお2人のナゾトキ力、すでに拝見しております。それではファイナルステージは、こちら！ 『○×ゲーム』です！」

司会者の益田がそう告げると、会場が明るくなる。
なんとそこには巨大な池、その前には○、×と描かれた巨大なパネル、そしてそこまで続くレーンとソリがあった。
周りには観客席もある。

「お兄ちゃん、がんばれー!!」
「!?」

観客席には見覚えのある顔……そこにいたのは、紛れもない妹の若菜だった。
なぜあいつが……!?

「こちらにいる観客席の方々は抽選で当選した方々です！ ぜひ最高のスリルを味わっていって、盛り上げてくださいね！」
「オオオオー！！」

他の人たちに紛れて妹が盛り上がっている。こっそりやっていたのがバレてしまったが、まあいい。ここまできたならかっこ悪いところは見せられない。絶対に勝つぞ……！

「さて、ルールをご説明いたします！ 今から出題される難問に対して、○だと思ったら○と、×だと思ったら×に向かうソリに乗ってください！ 早い者勝ちです。ソリに乗ったら2人同時にスタートしていただき、それぞれのパネルを突き破っていただきます。ただしソリの上で暴れたり余計な力を加えると、レーンから外れてしまうこともあるのでお気を付けください！
ついに1,000万円を手にする勝者が決定します ︎すべてはあなたの手に！
それでは、それぞれのスタート位置におつきください」

妹と、馴染みであった女優の益田嬉依、小田切先輩、多くの観客とともに、ファイナルステージは始まった。
絶対に、勝つ！