あなたは夏宮はづきのLINEに「おぼえてる」と連絡を返した。

「よかった〜！ 覚えてなかったらどうしようかと思ったよ。実はメッセージ送るの、結構緊張したんだからね！」

「まあ、そんなことはおいといて」

「その10年前のハロウィンパーティーにいた子たちのことも、覚えてる？ やっちゃんと、まふゆと、ちあき」

あなたは夏宮はづきのLINEに「少しだけなら……」と連絡を返した。

「もー！ ほんっと相変わらずだね！ まことは昔っから人に興味なさすぎだよ」

「しょうがないから1回だけ説明するね。プロフィール帳に写真を貼ってあるから、それ見ながら聞いてよね！」

あなたは手元にはづきから送られてきた3枚のプロフィール帳を用意した。

「まずは、オレンジ色のショートカットの子が春風やよい。私の幼稚園からの幼なじみ！ いつもニコニコしてておっとりしてるふわふわ系女子だよ。……まあ、意外と中身はしたたかで計算高かったりするけど」

「次は、青い髪でマフラーを巻いてる、静かな感じの子が霜月まふゆ。いっつも敬語で小さな声でしゃべるんだけど、本当に可愛い声してるんだよね〜。ピアノがめっちゃうまいんだ」

「最後、赤髪でボブカットの子が長月ちあき。きっちり真面目な委員長タイプ。クールで近寄りがたい印象だけど、ちょっとデレたりとか可愛いところもあるんだよね」

「って感じかな。もう忘れないでよ！」

「で、さっそく本題なんだけど」

「まことにはさ、恋のキューピッドになってほしいんだよね！」

あなたは夏宮はづきのLINEに「……？」と連絡を返した。

「え、言ってる意味がわからない？ ちょっと待って、今から説明するから！」

「えっと、この前ひさびさにさっき言った4人で集まったんだ。プチ同窓会しよって。で、話の流れでなんやかんや恋バナになって……そこで、全員に高校生のときから忘れられない人がいるってことが判明したんだよね」

「で、誰が好きなの！って問い詰めようとしたんだけど、みんな恥ずかしがって答えてくれなくて……。結局好きな人はわからなかったの」

「そのあと家に帰ってからさ、急におせっかい魂がこう、湧いてきちゃって。みんなの恋を叶えたい！って思っちゃったんだよね」

「思っちゃったからには、やるしかないじゃん？」

あなたは夏宮はづきのLINEに「はづきらしいね」と連絡を返した。

「あはは、それ褒めてんの？ まあ、ありがと」

「それでさ、どうにかしてみんなの好きな人がわからないかなーって思ってたんだけど、思い出したの！ 10年前のハロウィンパーティーで私が集めたプロフィール帳のこと！」

「あのとき、私たちのクラス、謎解きがブームだったじゃん？ ほら『リアル脱出ゲーム』とかもはやってて、休み時間に短い時間で解ける謎を出題しあったりとか、文化祭で脱出ゲーム作ったりとか！」

「その影響かわからないけど、プロフィール帳見たら、好きな人の名前、謎で隠してたっぽくて。だからきっと、謎さえ解ければみんなの好きな人がわかるはず！」

「ってわけだから、よろしくね、まこと」

あなたは夏宮はづきのLINEに「恋のキューピッドのことは理解できたけど、なんで僕に？」と連絡を返した。

「え、……だってまこと、いっつも休み時間に1人でもくもくと謎解いてたし、ミステリーとか読んでたし、頭良かったし。ほら、文化祭の脱出ゲームもたくさん考えてくれたじゃん？ だから謎、好きかなーって」

「えーっと、ほら！ ハロウィンパーティーにも参加してたからさ、話も早いかなって！ それだけ！」

「まあ、もうまことの家に必要なものも送っちゃったからさ」

「ね、お願い！」

あなたは夏宮はづきのLINEに「……わかったよ」と連絡を返した。

「やった！ ありがと！」

「じゃあさっそく。まことに送った3枚のプロフィール帳なんだけどさ、もちろん全員手書きだし、消せるボールペンとか使ってたし、年月経ってるしで消えちゃってるところがあるんだよね。これだと謎が解けなくって……」

「でも、ちゃーんと私が友人たちについてメモをまとめておいたから、それをもとに消えちゃった内容を埋めれば、きっと大丈夫なはず！」

「まずは、やよいの好きな人の名前を解き明かして！ 頼んだよ、まこと！」

あなたはやよいのプロフィール帳を手に取り、謎を解き始めた。