「失せ物は御神木に行けば見つかるってこと？」
佳苗は、半信半疑のまま、この神社の御神木を目指した。
この神社で最も大きな木だ。
すると、木の枝に何かが引っかかっているのが目に入った。

それは、佳苗が初めて手編みした帽子だった。
大切な人のことを思いながら、ひと針ひと針心を込めて完成させた、特別なものだ。

「どこを探しても見つからなかったのに……」

そう呟きながら、佳苗は帽子をそっと拾い上げた。

「お告げの通りに行動したら、本当に願いが叶うんだ……！」

胸の奥がじんわりと熱くなり、佳苗は帽子をぎゅっと抱きしめた。