Mystery for You 多すぎる犯行予告からの脱出 第1章
「先輩見てください~、飛行船飛んでますよ!」
「おー、って仕事しろ仕事。」
ここはとある監視室。壁はたくさんのモニターで埋めつくされている。
後輩に言われ、モニターに目を向けると、確かにその中の1つが青空に浮かぶ飛行船を映しだしていた。
3月19日、花灯市(はなあかりし)。
警察官として働いているあなた。
明日から開催される国際的イベント「WORLD TECHNOLOGY EXPO」の警備に複数の職員と一緒にあたっている。あなたは、この警備班のリーダーでもある。
このイベントは世界最大級の博覧会で、国際的な技術交換を目的とされている。会場は周りを海に囲まれた人工島で、総工費は数千億を超えていると言う。環境対策とセキュリティの観点からイベント専用モノレールが配備され、自動車や自転車、船など他の交通手段では入ることができない。
エキスポ終了後は、島全体がそのままテーマパークになるらしい。
あなたの役目は、メインイベントホール内にある管理施設の監視室から、監視カメラで不審者がいないかを確認すること。…といっても、今日は「オープニング・デイ」と銘打たれ、各国の首脳や要人たちと、抽選で選ばれた2,000人の一般参加者だけが入れる、いわばプレイベントの日だ。
モニターを見ながら後輩が口を開く。
「いよいよ、明日オープンですか… それにしてもいっぱいいますね、人」
「そうだな。まぁ、オープン後の人数は今日の比じゃないないだろう」
「何も起きないといいですね」
「こら、そういうこと言うとトラブルが起きるから…シッ!」
「すいませ~ん…」
時は過ぎ、19時。
要人たちがぞろぞろとイベントホールに入っていく。
今日は、2階のホールで会食という名のパーティーらしい。
全員が入室したとの無線を受け、マニュアル通りイベントホールの出入口に鍵をかけた。
防犯のためこの監視室からは遠隔で鍵をかけることができるのだ。
イベントホール内は別隊の警察官が見張っているので、あとは異変がないかをカメラ越しに見張るだけだ。
…しかし、事件は何の前触れもなく訪れた。
コッ、コッ、コッと小走りの音がこちらに近付いてくる。
「あのっ、すいません!」
慌てて監視室に入ってきたのはここの職員のようだ。
「どうされました?」
「こんなものが、事務所宛に…!」
職員が差し出したのは、白い封筒と1枚の紙だった。
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母なる海を汚した罰を与える。
このあと20時に森林公園「j7」区画を爆破し火の海にする。
と言っても、今日は無害な人間もいるのでチャンスをやろう。
警察よ、我々と知恵比べだ。
謎を解き解除コードを導き出して機械に入力すれば、爆破装置は止まる。
せいぜいがんばるんだな。
ロジャー・パイレーツ
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「ロジャー・パイレーツ」は海の環境保全を訴えるテロリスト集団だ。
でもなぜここに…? とにかく、今は事件が起きないようにするのが先だ。
「現場に向かう、君はここで応援を待つように」
そう言い残し、あなたが外に出ようとすると職員がためらいながらさらに口を開いた。
「あの…実はこれ以外にも犯行の予告状みたいなのが来ておりまして…」
「どういうことだ!?」
職員は手に持っていた袋の中から、テーブルに4つのモノを出した。
電報に、宅急便の箱、そしてメールを印刷したもの、SNSの書き込みを印刷したものだった。
中身を全部確認する。これらの差出人の名前がウソでなければすべて世界に指名手配がかかっているテロリスト集団のものだ。
「これで、すべてか?」
「はい、全部5分ほど前に届きまして… どうしましょう…」
頭を抱え数分、あなたは考えた作戦を無線で警備班全員に伝えた。
「警備班の全メンバーに告ぐ。現在、テロリスト集団を名乗る複数の集団から一斉に予告状が届いた。犯行予定時刻はすべて20時。我々は国家の威信にかけてすべての不審物の発見、ならびにすべての脅威の排除を行なう。
なお、国際問題となりかねないため、イベントホールで行なわれているパーティーやイベントはそのまま続行していてほしい。要人たちには一切伝えるな。もし不審物を見かけたら本部に連絡を入れること。会場の外にいるメンバーは、捜査にあたってくれ。捜索範囲は…」
要件を伝えた後に、あなたは謎を解きはじめた。