Mystery for You おばけのハロウィン大作戦!
おばけの復活に、すっかり大慌ての陰陽師。
その仮面はぽろりと外れ、あなたにも彼の素顔が見えた。
陰陽師「ち…違うんニャ!じゃない!違うんじゃ!」
ずっとやりとりしていた陰陽師は人間ではなく、化け猫だった。
そういえばこいつ、まあまあ何度も「ニャ」と言っていたなと、あなたは思った。
とりあえず陰陽師を落ち着かせたあなたは、ゆっくり彼の話を聞くことにした。
正体が化け猫であるというだけで、彼が妖たちの見張りを務めているのは事実のようだった。
妖が人間に悪さをしないように常に見張っているのも本当で、おばけを捕まえたいのも本心らしい。
おばけのようにイタズラをする妖がいると、人間との関係が悪化する。
だからこそあやつを取り締まりたかった、わしは人間と妖の平和を祈っていると、彼は熱心に話した。
陰陽師「でも、だからこそ…どうしておぬしはあやつを逃したんじゃ!せっかく一緒に頑張ったのに…」
そう話す陰陽師の口調には、腹立ちが半分。さみしさが半分。
黙って様子を見ていたおばけはやがて、陰陽師にすっと1枚の紙を差し出した。
その紙は先ほどあなたも見せてもらった、おばけが描いた計画書。
おばけのこれまでの行動はイタズラではなく、パーティの準備だったのだ。
おばけ「イツモ サミシソウ」
陰陽師には、その一言で十分だった。
おばけはただ、ハロウィンパーティーがしたかった。
自分のため以上に、この時期は忙しくて寂しそうな、陰陽師のために。
その事実はほんの少しだけ、陰陽師の怒りを冷ましたようだった。
おばけ「イッショニ ヤロ」
おばけの一言に、陰陽師は答える。
陰陽師「む…まずは謝ってからじゃニャいか?」
おばけ「…カクシテテ ゴメン」
おばけの素直な謝罪を聞いた陰陽師は、小さく笑った。
陰陽師「…よし、そうと決まったらパーティの準備だニャ!」
張り切る陰陽師を尻目に、おばけは1枚の紙をあなたに差し出した。
おばけ「コレ アゲル」
慣れない文字を頑張って手書きしたのであろう、ハロウィンパーティへの招待状。
おばけが力尽きて眠る前にあなたの近くまで来ていたのも、きっとこれを渡すためだったのだ。
おばけ「ヤクソク キテ」
そう言うと、おばけは陰陽師の後を追ってあなたのもとを離れていった。
そんな二人の背中を、あなたはじっと見つめていた。
陰陽師「そうだ、あれも謝るんだニャ!」
おばけ「ナニ ワカラナイ」
陰陽師「 わしの渾身の謎解きを台無しにしたこと!まだ許してないニャ!」
おばけ「ヤダ アレツマラナイ」
陰陽師「ニャんじゃと…!やっぱり許さんニャ! なし!パーティはなしだニャ!!」
おばけ「ヤダ ヤル」
喧嘩するほど仲がいい。
そんな言葉がぴったりなおばけと陰陽師は、そうやって最後まで言い争いながら消えていった。
そしてあなたは思った。
彼らのハロウィンパーティは、間違いなく面白くなりそうだな、と。 【END】
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