Mystery for You プランテス研究所_11
「わかった……」
カオルはそう言うと、スマホの通話をつないだまま換気窓に投げ入れた。スマホのビデオ通話には脱出室の天井だけが映っている。
数秒後、緊急脱出室のドアが開いた音がした。
カオルが操作室に入って開けたのだ。これで確実にカオルは寄生されてしまった。だが……
あなたはありったけの声で「カオル」と叫んだ。
脱出室のドアが自動で閉まる音がする。
うまくいったはずだ。あなたは祈りながら待った。
しばらくして声が聞こえた。
「……朝日だ。清々しい朝日だよ」
カオルの声だ。プランテスに寄生されたものの、名前を呼ばれたことで脱出室の中まで歩いてこられたのだ。
そして屋上に運ばれて朝日を浴び、カオルに寄生されていたプランテスは死滅した。
「お前の声が聞こえたよ。ありがとう。しかしまだ終わってないな。先輩と、他の職員も助けなきゃ」
その後、紫外線照射装置を使って研究所内の職員は全員救出された。
プランテスの研究は当然中止、研究所は取り壊された。
研究責任者たちは逮捕され警察の追及が行なわれている。
カオルの不法侵入の件は厳重注意を受けたものの、最終的にはお咎めなしだった。
それどころか、3人はSNS上では研究所の闇を暴いたとして軽いヒーロー扱いを受けている。
数日後、先輩にお礼として豪華な夕飯をおごってもらった。
「後で改めてお礼はするが、ひとまず今日は気にせず飲み食いしてくれ」
「そう言うなら遠慮しないですよ。このさやえんどうのサラダとか美味しそう!」
「お前あんなことがあったばかりでよくそんなもの食べられるな……」
先輩はしばらく植物は見たくないようだ。
「しかし先輩、仕事がなくなって大変じゃないんですか」
「いや、SNSで話題になったおかげでいくつかの研究所から声がかかってるんだ。今度はもっと慎重に選ぼうと思うけどね」
「良かったですね。でも、万が一また変な研究に巻き込まれたら助けに行きますよ。俺たち“2人”で」
あなたは頷いた。