Mystery for You ほんとうのプレゼント エンディング
あなたはミユのすべての【記憶のかけら】を解き明かした。
ケーキを食べ終えたあと、ミユは静かにこたつにもぐり込んで、ぬくもりに身をまかせていた。部屋の中はやっぱり静かで、時計の音だけがカチカチと響いていた。
「明日の朝には、クマのぬいぐるみがあるのかな……」
そう思いながら、胸の奥の「ほんとうに欲しかったもの」は、まだそこに、そっと残っていた。すると、玄関のドアがカチャリと音を立てた。
「ミユ、ただいま。」
その声は、たしかにママの声だった。ミユは一瞬、夢かと思って動けなかったけど、次の瞬間、こたつから飛び出して玄関に向かっていた。
「ママ……!? なんで、もう帰ってきたの?」
ママは少しだけ息を切らしながら、にこっと笑った。
「今日ね、お店がすっごく早く終わったの。お客さんが、夕方にはみんなケーキを買いに来てくれてね。」
ママの手には、荷物と、白い紙袋。エプロンにはまだクリームのあとがついていて、髪の毛には、いちごの香りがほんのり残っていた。
「ねえミユ、覚えてる? この前ふたりで描いたケーキの絵。あれ、お店の入口に飾ったの。大きくプリントしてね。そしたらみんな“このケーキかわいい!”って言ってくれて……すっごくたくさん売れたのよ。」
「……ほんとに?」
「うん。ママ、びっくりしちゃった。ミユの絵が、お店を助けてくれたのよ。」
ミユは、あの絵を思い出した。
ふたりの笑い声を描いた、特別な絵。
「じゃあ……そのおかげで、今日は……」
「そう、今日はミユと、いっしょにいられるよ。」
ママは袋から、もうひとつのケーキを取り出した。小さな手づくりのサイズで、上には、ミユが描いたケーキの絵とおそろいの飾りがのっていた。テーブルにろうそくを立てて、二人で「せーの」で火をつけた。明かりがポッと灯った瞬間、部屋があたたかくなった。
「メリークリスマス、ミユ。」
「メリークリスマス、ママ。」
その夜、ミユははじめて、ママと並んでケーキを食べながらクリスマスを過ごした。クマのぬいぐるみは、まだ届いていなかったけれど、ミユの隣には、ずっと欲しかったものがちゃんとあった。あのとき言えなかった「ほんとうの願い」は、ことばにしなくても、ちゃんとママに届いていたのかもしれない。
胸の中のぽっかりが、甘くて、あたたかくて、ふわっと満たされていった。