Mystery for You STREET NAZO ART_02
「ゴッド、ボクシング、トウセン、スポーツ…かな」
「え、早…! 先輩、謎解き得意なんですね!」
丸尾は尊敬の顔をこちらへ向ける。
仕事でも散々助けてやっているのだから、普段からそのような顔をしてほしいものだ。
「自分はあまりやったことなかったんですけど、面白いですね、謎解きって!」
そう続ける丸尾に、肩をすくめてやる。
「それで、思ったんですけど、これを市を挙げて観光名所として推していけば、観光客もきっとたくさんやってきますよ!」
屈託ない笑顔で言う。
「名案を思い付いた!」と心底思っている顔だ。
しかし、これについては俺にも持論があった。
「おまえ、バカだなー。こういうのは行政が太鼓判を押すと逆にしらけちゃうんだよ。俺たちはさも迷惑してますという顔をして、自然と話題になるのを待つのが得策さ」
それにそもそも、犯罪行為であるストリートアートに市役所がお墨付きを与えるというのは、色々と難しい。
意見を真っ向から否定された丸尾は、しかしムッとするでもがっかりするでもなく、あっけらかんとこう言う。
「たしかにそうかもですね! “口コミから火が付く”のが大事ってことですね! よーし、SNSの匿名アカウントでじゃんじゃん拡散しちゃうぞー! あ、ちょっと待って、いいこと思いついたかも! えっとまずは……」
先輩への返答から流れるように独り言へ移行する丸尾に、あきれ笑いをするが、こういうところが丸尾の愛される所以なんだよな、とも思った。
そう上手くいくはずもないが、観光課職員としての情熱を燃やしてくれるのは、先輩としては喜ばしいことである。