Mystery for You STREET NAZO ART_12
力強くうなずいてみせると、丸尾は意を決したように話しはじめた。
「シンクボーイの予言、あれって、予言じゃないんですよね」
そんなことは知っている、と思うが、黙(だま)って続きを聞く。
「自分なんですよ、謎解きの答えを、予言に仕立て上げたの」
「え?」
心底驚(おどろ)いたが、言われてみれば、どうしてその可能性に思い至らなかったのだろう、とも思った。
「最初に先輩からシンクボーイの謎の答えを聞いた時、気づいたんですよ。これ、橋元市の通りの名前に似てるなって。それで、これもしかして予言だってことに出来るんじゃないかなって。そしたら、バズって観光客も増えるんじゃないかって思ったんです」
丸尾は続ける。
「だから、何度も変装してスポーツ新聞買いに行ったり、劇団員やってる友達に声かけて、カーディーラーで新車買った人に勝手にフラッシュモブしかけたり。でも、ボヤは、もちろんですけど何もやってないんです!」
考えるとシュールだが、今はそれどころではない。
「となると、ボヤは他の誰かがやったってことか?」
「そうだと思ってます。フラッシュモブの時点で結構ネットでは話題になってましたから、予言を成就させてやろうって考えた人がいたんじゃないかなと。いたずらで店に火をつけるようなやつですから、もしかすると爆発(ばくはつ)も………! 先輩、自分のせいです、どうしましょう………!」
自分のせいですもどうしましょうもこっちの方である。
もちろん工場の爆発が起これば大変なことだし、それで可愛い後輩が気に病むようなこともあってはいけない。
それに何より、爆発なんて起きようものなら、シンクボーイ、つまり俺自身が予告犯罪者扱(あつか)いされてしまいかねない。
頭をフル回転させる。
突如(とつじょ)、天啓(てんけい)が降りた。
謎制作者だけに降りる、奇跡(きせき)的なひらめきだ。
「丸尾、今すぐ車出すぞ! ストリートアートには、より上手なやつは上書きしてもいいっていう文化があるんだ!」
「上書き…ですか? 先輩って絵心ありましたっけ………?」
「謎解きの問題と答えを上書きするんだよ! それも、矢印に手を加えるだけだ。観光課の倉庫に入ってる、黒いスプレーがあれば十分だ!」
(封筒④『2026年3月23日 橋元市内 壁面汚損事案 状況資料』内の謎はいずれも、問題の矢印に手を加えるだけで、答えを変更することが出来るようです。変更後の答えを回答してください。)
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