無事に必要なモノを私に詰めて出張へ向かった主。

出張の最終日、主は私と一緒に駅前のお土産屋さんにいました。
「これオススメですよ？ いかが？」
声をかけてきたのは店主でしょうか。主と同年代の女性です。
「素敵ですね」
そう応えた主のほほがほんのり赤くなったのを私は見逃しませんでした。
「でも、このかばんに入らないと思います……」
「組み立て式のかばん？」
「はい、実家近くの商店街で18円で売っているのを見つけて……」

私をしげしげと眺めていた女性は突然、興奮して叫びました。
「このかばん、カラクリツクリーノの作品ですね！」
「はい？」
「ご存知ないですか？ 不思議なものをいろいろ作る職人ですよ」
これは私も初耳です。かばん専門店に行く前の記憶はありませんから。
「あなたが購入した金額よりも、一万倍の価値あると思いますよ。
例えば、パーツをいじると荷物が入るスペースが広がるんです！ やり方を教えてさしあげますね！」

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