Mystery for You うみかぜ院長の秘密の薬 正解
金庫の鍵番号を導いたあなたは、屋根裏へ向かった。
そこには埃(ほこり)を被った金庫が、確かに置いてあった。
あなたは、静かに鍵を開ける。
中から出てきたのは…… 父、清の手記だった。
***
私は、人にはとても言えないルートで、なんとかヘムポンを入手した。
この島に自生する有毒植物の花を口にして瀕死の状態に陥った健太郎を救うには、それしか手がなかったのだ。
この秘密を知っているのは、私の婚約者だけである。
私から闇ルートでのヘムポンの入手計画を聞いた彼女は「健太郎くんの命がそれで助かるなら……」と、快く承諾してくれた。金も工面してくれた。
後にも先にも、この秘密を話したのは彼女1人だけだ。
ヘムポン投与に関する資料も鍵をかけて保管した。
鍵は、健太郎と私にしか解けない暗号にした。
この先死ぬまで、誰にもこの秘密を話す事はないだろう。
健太郎の経過は順調で、今は外を歩けるまでに回復した。
そんな彼の将来の夢は、医者になることだという。
健太郎が私に言ったのだ。
「いつか、父さんみたいなお医者さんになりたい。それがぼくの夢」と。
息子からこの言葉を聞いて、どんなに嬉(うれ)しかったか。
私を、こんなに可愛い男の子の父親にしてくれて、そして、彼の命を助けてくれて、本当にありがとうと、神様に感謝せずにはいられなかった。
だが同時に、健太郎の将来の苦労を考えると、いたたまれない気持ちにもなる。
彼には、ヘムポンの後遺症が残っている。
視覚に障害を抱えたまま医者になるのは、並大抵のことではないはずだ。
それに、心配事がもうひとつある。
医者になるには金がかかるのだ。
健太郎が医学の道に進むには、私の婿入り先の金銭的な援助が不可欠になるだろう。
私の婿入り先には、婚約者の連れ子の男の子もいる。
私が、今までのように健太郎を可愛がれば、
連れ子よりも健太郎を贔屓(ひいき)していると、勘違いされてしまうかもしれない。
この先、健太郎が後遺症に負けずに立派に夢を叶えられるように、
私は心を鬼にして、健太郎に厳しく振る舞わなければ……。
***
誰もいない診察室で手記を読んでいたあなたは、
手記を読み終わった後、しばらくその場を動けなかった。
父の厳しい態度の裏にこんな想いがあったとは、想像すらしていなかった。
「僕は、父さんの想いに気付かないどころか……。
それどころか、自分は父さんにとって邪魔なのではないかと…。ずっと……。」
あなたは、読んでいた父の手記を強く握りしめた。
その時、開け放った窓のカーテンが揺れた。
夏の湿った空気が流れ込んで、あなたの頬を撫でる。
あなたは椅子から腰を上げて、窓のそばまで歩み寄り、空を見上げた。
青い空に、入道雲がいくつか浮かんでいる。
「あの頃の夢を叶えて医者になりました。父さんのおかげです。
きっと、父さんのような立派な医者になりますから、
これからも、ずっと見守っていてください。」
あなたは空に向かって、父に語りかけるかのように、つぶやいた。
終わり
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おめでとう! 見事に「うみかぜ院長の秘密の薬」を解き明かした!
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