Mystery for You 私が運命の人に出会うまで 【3人目とのデート結果】
「これまで仕事ばかりで、こういったデートには慣れてなかったんですが、三橋さんと過ごす時間はすごく楽しいです」
そう言って紳士的にエスコートしてくれる大塚さん。
何だか不安になるくらい、今回のデートは順調だ。
映画館を出た後も話が盛り上がり、一緒に帰り道を歩くことになった。
他愛もない会話をしながら歩いていた、そのとき。
また、じわりと嫌な視線を感じた。誰かから見られている。そう感じた瞬間、後ろから近付いてくる足音…… 「いちご!」
声の主はミツキだった。
「いちごは騙(だま)されてる!」
そう言って、ミツキは戸惑う大塚さんの鞄(かばん)を奪い取り、中をごそごそと探ると、紙束を取り出した。
「これを見て」
それは大量の、私を写した写真だった。
外にいるものや、部屋の中でくつろぐ姿まで、どれも身に覚えのない、隠し撮りされたものだ。
「きゃ…」
思わず小さく悲鳴をあげる。
「え、何だこれ、知らない… ミツキ君、いきなり何なんだ!?」
戸惑う大塚さんに対し、ミツキはこれまで見たことのないような怖い表情で睨(にら)み付ける。
「あんただろ、いちごのストーカーは! 証拠はこの写真だよ、ほら、そこの交番まで連れてってやる」
ミツキは逃げようとする大塚さんの手をつかんで、交番まで無理やりに引き連れていこうとする。
ミツキは着やせするようで、意外と鍛えているらしく、がっしりと相手を掴む手はとても頼もしい。
交番で対応してくれた警察官は、あの短髪の人だった。
「責任をもって、事情聴取を行ないます」
そう言うと、抵抗する気力を無くし、ぐったりと力なくうなだれる大塚さんを連れて、交番へと入っていった。