「柿の木って…」

自分の部屋で暗号を解いていたユキは、窓の外に目をやった。

ユキの部屋は庭に面していて、様子を部屋から伺えるのだ。

冬の晴れ空の下、黄色と緑がまだらに入り混じった芝生の庭が見える。

その真ん中に、葉の落ちきった木が１本寂しげに立っている。

ユキの家の柿の木は、物心ついた頃には既にそこそこ大きく成長しており、毎年秋には枝がしなるほどたくさんの柿の実がなる。

「ユキちゃん見て！ 今年の柿、君がいつも髪につけてるお気に入りのリボンみたいに、きれいなオレンジ色だよ。いいできだ！」

「実がなる木が庭にあったら、ユキちゃんと一緒にこうやって収穫できて楽しいかなと思って植えたんだ。うん、我ながらいいアイデアだ」

秋に家族で柿を収穫したときに、父親のケンと交わした会話を思い出しながら、ユキは庭へ向かった。

柿の木に近付くと、芝生が一部はげて土がむき出しになっている。

シャベルで少し掘ると、何か固いものに当たった感触がした。

「…ここにプレゼントが埋まってる!?」

ドキドキしながらそのまま掘り進めると、中から出てきたのはお菓子の缶だった。

蓋を開けると、そこには…

封筒が1通入っていただけだったーー

トナカイの切手が貼られた封筒を開こう