忘れ雪の君をさがして 秘密のカセットテープ
部室の扉を開けると、視界いっぱいに懐かしい景⾊が広がった。
壁に貼ったポスター、カンペ、ロッカー……古くてボロボロになってしまっているけれど、みんな数⼗年前のままだ。
そう、数⼗年前の……わたしが、この部室に閉じ込められたときのまま。
あのとき起こった出来事は、今思い返しても夢なんじゃないかと思うくらいありえないことの連続だった。
でも本当に、あのときあの鏡は、この39年後の世界につながっていた。鏡越しの景⾊はぼんやりしていてよく⾒えなかったけれども、⾃信を持ってそうだと⾔える。あのとき部室にいたあの⼈たちのおかげで、わたしは今こうして⽣きているのだから。
「あれ?」
改めて部室の中を⾒渡していたわたしは、部屋の隅に落ちていた“何か”に気が付いた。机の陰に隠れるように潜んでいたそれをかがんで拾い上げ、つぶやく。
「カセットテープ……」
これは……
わたしが持っていたもの、だ。
⼿のひらに乗った⼩さな記録媒体を⾒た瞬間、ある記憶が⼀気によみがえる。
39年前……わたしには1⼈の友達がいた。
映画部でのわたしの活動を⽀えてくれた⼤事な友達。でもささいなことがきっかけでけんか別れしてしまって、そんな折に、部室に閉じ込められるあの事件が起きたのだった。
花⽕を上げて救助を待つまでの間、わたしの頭にあったのはその⼦のことだった。
けんかしてしまったこと、すごく謝りたくて。何があったとしても、あの⼦にだけはメッセージを伝えたくて。
それで、それで……
──わたしは、このカセットテープに何を残したんだっけ?
思わずため息が漏れる。年はとりたくないものだ。
部室の隅でほこりをかぶっていたラジカセを引っ張り出して、カセットを再⽣しようとしてみる。しかし何の不調なのか、ガサガサとしたノイズが聞こえるだけで録⾳したはずのメッセージは何も流れてこなかった。
でも、⼀度ついた好奇⼼の⽕はこんなことでは消えない。
わたしは、なんとしてもメッセージを再⽣させようと躍起になっていた。
まずは……カセットテープの様⼦を調べてみるといいかもしれない。
カセットテープの様子を確認しよう
6つの問題を解き、解答用紙に答えを埋めてキーワードを導こう