謎付き卒業証書 Epilogue-1
学校近くの、いつもの公園へと向かう。
放課後、ベンチに座って卒業制作のシナリオについて議論したり、おススメの映画について語り合ったりした。
卒業制作のワンシーンを撮ったこともある。
そんな、思い出の公園を視界に捉えた。
入口の街灯の下に、見慣れたシルエット。
つづきがこちらに気づいて、手を振る。
「びっくりした、よね?」
ちょっと申し訳なさそうに、でもそれ以上に可笑しそうに、つづきが言う。
「そりゃそうだよ! まさか卒業証書がすり替えられてるなんて。」
「よくこの場所がわかったね。」
「わからないと思ってた?」
「そうだね。だって最後のページさ、覚えてなかったでしょ?」
最初に尋ねようと思っていたことに、つづきから言及してくれた。
「そうなんだよね。あんなことあったっけ? 全然記憶にないし、未成年飲酒だし、もう大混乱で…」
「大丈夫、安心して。」
つづきは、ふふっ、と声に出し笑った。
「あれは私がAIで作った写真なんだ。未成年飲酒も勿論してないよ。最近のAIって、本当にすごいよね!」
え、なんでそんなこと…?
という表情をくみ取ったのか、すぐにつづきが続ける。
「でも、あの思い出は、本当。本当にあったことなんだ。」
どういうこと? 本当にあったけど、写真は撮ってなかったとか?
それにしても、こんなにまったく記憶にないことってあるかな…。
「本当に大混乱って顔してるね。」
つづきがまた笑う。
「ごめんね、でも伝えたかったんだ。共有して、ありがとうって言いたかった。卒業式の予行演習、火事が起こったあの日のこと、覚えてるでしょ?」
当然だ。あのとき、つづきが呼びかけてくれたおかげで、記憶を取り戻し、目覚められた。
だからこそ、映画のワンシーンを外に向かって放送することで、救助隊を呼ぶことができたのだ。
つづきは、折に触れてあの日の私の機転に感謝してくれるが、お互い様なのである。それに、親友を助けるために必死になるのは当たり前のことだ。
「お礼なんていわないでって。」
だから、お決まりの文句を返す。
するといつもなら「ごめんごめん」とはにかむつづきだが、今日は違った。