忘れ雪の君をさがして 謎付きクリアファイル 正解
「正しいタイトルは『君の背中を見つめて』だよね?」
私は、白ちゃんを目の前に聞いていた。あの後、家に帰り”私のミス”に気付き、謎を解き直したのだ。
そして、日付が変わって今日。白ちゃんに答え合わせをしてもらっている。
「解いてくれてありがとう、それと脚本も正しい順番に直してくれて。」
笑いながら白ちゃんは正解判定をしてくれた。
「それと昨日はイジワルしちゃってごめん。ああやって言ったら伝わるかなって、ゆずきちゃんを試したくなっちゃった。」
バツの悪そうな顔の前で、手を合わせて簡単な謝罪のポーズをとる。確かに、昨日の言い方は試されているような気もした。
「いいよ。でも、なんで今回は脚本を使った暗号にしたの?いつもはそんな風じゃないのに。」
「実はね……」
この前のような少し照れた顔。ちょっと言い淀んだ後、白ちゃんは口を開いた。
「あの脚本を使って、今実際に映画を撮ろうとしてるんだ。だから今、放課後とかカツカツで。だから、暗号のために脚本を作ったていうよりも脚本から暗号を作った、ていう方が正しいかな?」
「え、今白ちゃん、映画を撮ってるの?」
「そんな驚かないでよ、一応ゆずきちゃんと同じ映画部だよ。」
「確かに…」
確かに白ちゃんは、映画部に入ってくれて、私の撮影をいろいろ手伝ってくれている。でも、白ちゃんがこんなに自主的に動く子だったなんて。
「それに、今回のこの脚本も含めて何かを作ってみよう、って思えたのはゆずきちゃんがきっかけだったから。」
「え…」
「ゆずきちゃんが映画部で頑張ってる姿を見てて、それで映画部手伝ってみよう!って思って。
そして、そこで映画作りの楽しさを少し感じられてさ。
全部、ゆずきちゃんがいなかったら見えなかった時間を経験できたから。
だから、この脚本も見てほしかったんだ。」
全然気付かなかった。映画を作っていることも、何より私にそんな事を感じてくれていたなんて。
「『君の背中を見つめて』、完成したら一番最初に見てほしいな。それじゃあさ、またロケハンが今からあるからちょっと行ってくるね。」
そう言って、白ちゃんは教室を後にした。
『君の背中を見つめて』、良いタイトルだ。完成が楽しみだな、そう思った。
白ちゃんからの脚本とメッセージを無事読み解くことができた私は、ホッとしながら席についた。
机の上には、宝箱。
そうそう、忘れちゃいけない。この宝箱に、次のメッセージを込めて鍵をかける事を。
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