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  2. あるディストピアからの脱出STEP1

あるディストピアからの脱出STEP1

暗号を解いたあなたはトップシークレットのデータを開いた。そこにはゾンビを一掃できる気体物質についての情報が事細かに書かれていた。

「たしかに、これならゾンビを全滅させられる… ! これでゾンビのいない世界がもどってくるぞ!」

そう思ったあなたは少し安堵して、夜の散歩に出かけることにした。家の近くの山道を歩いていると、近くの茂みから音がした。

「なんだ…? もしかして…ゾンビ…?」

おそるおそる振り返ったそのときだった。低い咆哮が聞こえたかと思うと、あなたは仰向けに押し倒されていた。あなたの胸からは鮮血が流れ出ている。かすみゆく視界に映った生物を見てあなたはかすかに言った。

「…や…野生の…く…熊…」

それがあなたの人生最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

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どれくらいの時が流れたのだろう。目を覚ますと、あなたは草むらに横たわっていた。なんだか頭は少しぼーっとしているが、意識は不思議とはっきりしている。あなたは起き上がり、あたりを見渡した。誰もいない。起き上がって少し歩くと、山道に出た。道の真ん中には血のあとがある。

…少しずつ、記憶がよみがえってきた。あのとき熊に襲われ、山道で倒れたのだろう。そして何者かが倒れたあなたを草むらに移動させたのだ。しかし、ひとつだけ疑問が残る。

「…なぜ警察や救急車を呼んでくれなかったんだ?」

そう思ったあなたはふと自分の手を見て驚愕した。
もしかすると、普通の人間であれば気づかなかったかもしれない。しかし、あなたは A-Zu だ。この特徴的な肌色は嫌というほど見覚えがある。

「…ゾン…ビ…?」

理解はできたものの、しばらく頭の整理が追いつかなかった。あなたはゾンビになってしまった。ゆっくりと記憶の断片と、今現在の状況を合わせて頭の中を整理していく。つまるところ、あなたはゾンビを全滅するための情報を読み解いたのちに気分が良くなって山道を散歩していたところ、野生の熊に襲われて死亡し、あなた自身がゾンビ化してしまったということだ。あなたは絶望した。死を迎えたことよりも、いままであれほど憎み恐れてきたゾンビに自分自身がなってしまったことに、深く絶望した。

「お、ようやく目が覚めたんだな!」

唐突に誰かが話しかけてきた。うなだれていたあなたが顔をあげると、そこにはゾンビがいた。思わずあなたは悲鳴をあげそうになったが、どうやら声帯が腐っているらしい。低めのうめき声が漏れただけだった。

「おいおい、そんなに驚くなって。あんたももうゾンビなんだからさ。あ、声はそのうち普通に出せるようになるよ。いまはまだその腐った声帯に慣れてないだけさ」

おそらく男であろうそのゾンビはそう流暢にしゃべった。

「それに、ゾンビはなーんにも危険じゃないんだ。ほら、あんただって別にいま人間を噛み殺したくてしょうがねえ!! とか思ってねえだろ? 意識は生きていたころとなんら変わってないはずだぜ」

たしかにこのゾンビのいう通り、ゾンビになったからといって精神的に特段変わったことは無かった。
肌や声帯など、体が腐っただけである。

「ほんとはあんたが倒れてるのを見つけて救急車を呼ぼうと思ったんだ。だけど、俺が見つけたときにはもうゾンビ化しちまってて …。せめてもと思って、車に轢かれないように草むらに移動しておいたんだ」

このゾンビと話しているうちに、少なくとも1つはっきりしたことがある。それは人間たちはゾンビを誤解している、ということだ。ゾンビは人間を食い殺したり噛み殺したりするつもりなど一切なく、危険性が皆無などころか、こうして道に倒れていた自分をできる限りの形で助けようとしてくれていた。無論、ゾンビ全員がそうなのかは定かではないが、少なくとも「ゾンビ」というだけで「一掃されるべき対象である」というのは間違っていた。

そのとき、あなたは死の直前に自分が何をしてしまったのかということに気が付いた。あなたはゾンビを全滅させるための兵器開発に必要な情報を読み解いてしまった。もしあのデータが上層部に渡ってしまえば、あなたやあなたを助けてくれたこの心優しいゾンビも含めて、すべてのゾンビは一掃されてしまう。

そう気づいたあなたはその場から駆けだした。

「おい! どうしたんだよ急に! おーい!」

背中から声をかけられたが、気にしている暇はない。あなたは振り向きもせずに自分の家へと駆け戻った。

自宅にもどり PC を見ると、A-Zu のデータベースにアクセスすることができなくなっていた。そういえば A-Zu 構成員の体には生体認証の IC チップが埋め込まれていて、構成員が死亡すると「死亡ロック」なるものがかけられるのだった。死亡した時点で即座にデータベースへのアクセスにロックがかかるらしい。
これは情報漏洩を防ぐためで、本人が設定した情報が無い限り開くことはできないようだ。しかしあなたは本人自身だ。自分の記憶をたどればロックは解除できる … のだが、ゾンビになりたてほやほやのあなたは生前の記憶が曖昧になっていた。なんとかしてあやふやな記憶を呼び覚まし、死亡ロックを解除しなければ…!

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