十五夜タイムトラベル ストーリー
僕は裏山の高台にのぼった。
月の本の謎の答えは「リピート」。
この言葉を唱えればタイムトラベルできるらしい。
昨夜、僕の目の前で人間が消えた。
あれは絶対に幻だとか見間違いじゃない。
小夜子を救えるとしたらこれしか方法はない。
僕はクリスタルを握りしめ、「リピート」と囁く。
すると、手にしていたクリスタルが、カッと光りを放った。
しかしその光は拡散せずに、僕の体の半径1mほどにとどまっている。
まるで、球体のガラスに水が満ちていくように、僕の体は光に包まれていった。
突然、ふわっと体が宙に浮いたような気がした。
この高揚感は何かに似ている
そうだ。
小夜子の横顔を見ているときの、胸がすうっと浮くような気持ち。
あの感覚に似ているんだ。
次の瞬間、右手首に刺すような痛みが走り、僕は意識を失った。
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気がつくと、僕は裏山の高台に倒れていた。
クリスタルの破片があたりに散らばっている。
僕は昨日にタイムトラベルできたのだろうか?
土を払って立ち上がった僕は、ある異変に気がついた。
影が短い。
ハッとして空を見上げると、太陽が真上にあった。
僕が「リピート」とつぶやいたのは10月1日の16時頃だった。
あのとき、日は少し傾いて影が長くなっていたのだ。
僕は裏山を駆け下りた。
そしてたまたま道を通りかかったおじいさんに今日が何日か尋ねた。
「今日は9月30日だよ」
「間違いじゃないですよね? 10月1日じゃないですか?」
「いや、9月30日のはずだよ。ほら」
おじいさんはポケットから携帯を取り出して僕に見せた。
液晶画面には「9/30 11:41」と表示されていた。
「本当にタイムトラベルしたんだ……」
呆然とする僕に、おじいさんは言った。
「どうしたんだ。お前さんのその手首」
「え?」
おじいさんに指差された右手首を見ると、輪を描くように火傷の痕があり、つけていたミサンガがなくなっていた。「時空のはざま」のような空間に飛ばされてしまったのだろうか。
「大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です! 変なこと聞いてすみませんでした」
今日、小夜子は殺される。その前に探し出して止めなくては。
小夜子が殺された現場はわかっていない。
どうにかして行方を突き止めるんだ。
【町を探索して情報を集め、小夜子の居場所を突きとめろ】
【町を探索するときは、マップの行きたい場所の数字にー3したパラグラフに飛ぶこと】