Mystery for You 突然のダイレクトメッセージ エンディング
あなたはマコトの情報をすべて伝えた。
タカシはあなたの言葉を、まるで機械のように看護師に伝える。
「あ、いましたよ。もうすぐ手術ですが、面会は可能です」
「……え、本当ですか!」
「ええ、佐藤真さん。女性ですね」
「ありがとうござい……あれ、ちょっと待ってください。女性?」
ようやく気が付いたようだ。
「ええ。佐藤真さんは女性です」
「なんで……」
「なんでって、会うんですか? どっちなんですか」
「……会います。僕、ずっと会いたかったんです」
「では電話はお切りください」
タカシの「ありがとうございます。全部あなたのおかげです」という声と同時に、電話は切れた。
そう、マコトは女性だった。
だが顔も声もわからないチャットでは性別の勘違いはよくあることだ。それに自分から性別を偽ることだってある。マコトも、あえて男性のように振舞っていたのだ。
だが、男性であれば1階建ての山上図書館のトイレからサンタワーを見ることはできない。見ることができるのは女性トイレだけだ。ついボロが出てしまったのだろう。
持病があり将来に悲観したマコトは友達も作らず過ごしていた。
そんな中、興味本位でチャットをしてみたところ、たまたまつながったのがタカシだったのだろう。
止めればいつでも縁が切れるチャット友達だったはずが、いつしか本当の友達のようになっていた……。
このあと2人はどんな対面をするのだろうか。
そして手術はどうなるのだろう。
あなたは2人に思いを馳せながら、そっとSNSを閉じた。
その数年後、あなたのもとに突然ダイレクトメッセージが届き、
「謎解きウェディング」に招待されることになるのだが、今はまだ知る由もない。
完