Mystery for You 真実 最終章
「I AM A MURDERER…?」
もちろん自分自身は、今までに人を殺したことなどない。ということはこの「I」が示すものは…
液晶を見ると真顔になったヨネカワ先生がこちらをじっと見ていた。
「そうだよ。私だよ。楯浜強盗殺人事件の犯人は私だ」
目が点になる… という言葉はこういうときに使うべきなのだろうか。
「ちょ…ちょっと待ってください。あなたが、犯人?」
「そうだ。私が犯人だ」
「いやいやいやいや、犯人は6人グループだって…」
「そうだ。ただ、残りの5人は亡くなったよ。だから残るは僕だけってことさ」
「えっ…参考にするとはいえ、この作品はフィクションって言いましたよね?」
「まだ気付かないのかい? あんなにディティールの凝った小説、そしてこの体験型ゲーム、いったい誰が作れるというんだい。それができるのは、相当のルポライターか、犯人ぐらいしかいないだろうね」
「そんな…先生が…」
ここまで知ってしまった私は、その事件のすべてを聞き出そうとした。
「まぁ、ネタに困っていたからね。詳しい話は今度出る解答編を読んでもらおう。
生きて帰ってこられたらね?」
「生きて帰ってこられたら?」
「そうだ。君の手元にあるその本の最終章はまだ空白だ。すなわち、これから執筆することになる。君が死ぬところをね」
「…!」
「そうだな、この事件を追っていた探偵がこの場所を突き止めるが犯人によって密室に閉じ込められてしまう。数日後には死体となって浜辺に打ち上げられていた… 死因はそうだな、溺死なんてどうだろうか。
何を驚いているんだ? 1位にはサプライズがあるって言っただろう? 私の作品に出られるチャンスだ。願ってもいない賞品だろう。
もし生きて帰ってこれたら私を告発するなり何でもしなさい。甘んじて受け入れよう」
「どうしてこんなことをするんですか…?」
「知ってしまったんだ。この快楽を。このヒリヒリ感を楽しんでいる自分を。生きるか死ぬか、人生自体をベットするこの感じ。たまらないぜ」
「だからって人を殺すのはいけないと思います!」
「確かにそうだ。しかし私は既に罪を犯してしまった。もう、失うものは何もないんだ。だからせめてリアリティのある作品を作らせてくれ」
言い終わると、先ほどのパイプから大量の水が流れてきた。
「あと5分ほどでこの部屋は満水になるだろう。そうしたら君は溺死だ。でも、せっかくここまで来たんだ。最後に1度だけチャンスをやろう。
モニターに映るこの問題を解いて今君が手元に持っている端末に答えを入力しなさい。解答は1度きりだ。
成功したら、扉は開く。失敗したら、私の作品の一部になってもらおう。では」
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次のページに進んで最終問題を解こう。
制限時間は5分。
解答を入力できない、謎が解けなければ脱出失敗となる。
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