Mystery for You 危険潜む謎解きキット事件簿
急いで車を走らせ、目的地に向かう。
「このなぞいんさつしろ」
その指示に従おうとした彼女は、おそらく近くのコンビニに向かったのだろう。最近のコンビニのプリンターでは、スマホからの登録で、簡単に印刷することができると、以前彼女が教えてくれた。
助手の家の近くには、1軒だけコンビニがあったのを覚えている。そこに居てくれと願いながら、暗い夜道を駆け抜ける。
コンビニまであと少し、という距離まで来たところで、近くの公園で何やら激しく動き回る人影が見えた。
嫌な直感を信じて、車を停めて急いでその公園に走ると、2人の人間が取っ組み合いをしている。黒い帽子を目深に被った男と、助手のさくらだった。
「手を止めろ!!」
と声の限り叫ぶと、男は近くに停めてあった彼の車の方へ逃げ出す。助手が必死でつかみかかってくれている隙に正面へと回り込み、「離れろ!!」という私の声に彼女がすぐに反応したのを確認し、は彼に強烈な蹴りを入れる。
彼の体が一瞬宙に舞い、大きな音を立てて地面へと落ちる。助手にも手伝ってもらい、彼の手足を押さえつけながら帽子を脱がす。
「やはりか。」
「っ! なんで今日の社長が!」
「詳しいことは後で話すよ。まずは警察に連絡だ。」
その後の展開は速かった。私が彼を拘束しているうちに彼女に警察に連絡してもらい、すぐに到着したパトカーでSCRAMBLEの社長は連行された。
私たちは、それぞれ軽い事情聴取をその場で受け、詳しい話はまた後日署で伺うということでその日は解放された。
私は助手を家まで送り届けた。彼女は詳しい話を聞きたがったが、今日は疲れているだろうから明日事務所で話すと約束し、別れを告げた。