Mystery for You 危険潜む謎解きキット事件簿
試行錯誤の結果、ついにそれぞれのクレームの原因を解明した。
「なるほど… 禁水性の物質が含まれた紙を水にぬらすと、やけどする場合もあるし、アルミなどが含まれる紙を電子レンジで温めると爆発する。フラッシュペーパーと呼ばれるような引火性の紙に火を付ければ火災を巻き起こすほどの火の手を上げることもある。そう考えれば、これらの事件にはすべて説明がつくでしょう。」
「まさかそんなことが…」私が事件の経緯を説明すると、社長は絶望の表情を浮かべた。
「あなたの会社では、印刷や梱包などほぼすべての製造に関する業務まで外部の方が行なっているとおっしゃっていましたから、こんなことを起こすこともできたのでしょう。また、謎の内容に関しても…」
「…偶然ですよね。」社長がほうけたような顔でつぶやく。
「これって偶然ですよね? たまたま謎の内容を勘違いした人が、たまたま現れた危険な指示文に従ってしまっただけですよね?」
そう信じたいのもわかる。意図的に危険を引き起こそうとするようなクリエイターに謎の依頼をしていると世間にバレれば、会社の信用問題に関わる。
「依頼料はもちろんお支払いいたします。ですから、この件は無かったことにしてください。」
そう唐突に言うと、札束の入った封筒を机に置き、我々が呼び止めるよりも早く社長は事務所を出ていってしまった。