探偵たちと過ごす可笑しな放課後(4) 「『白黒はっきりつけなくていい』」 3つの問題から導かれた言葉をふわりがつぶやくと、白本が目を丸くした。 それと同時に、ダベり部の扉が音を立てて開いた。 眼鏡姿の1人の男子生徒がそこには立っていた。 「白本君、やっぱりダベリ部にいましたか」 「黒田! なんで、ここに……」 「駄目ですよ、部長なんだから部員を困らせちゃ。サッカー部の部員たちが、練習の時間になっても部長が来ないと校内を探していましたよ。きっと僕が渡したパズルが解けなくてダベり部に依頼でもしてるんじゃないかと思って、ここに来ました」 「名推理! その通りだよ、黒田君」 張り詰めた空気を破るように、いつものふざけた調子で、もゆるが黒田を指さす。 黒田はさほどうれしがる様子もなく、眼鏡をくいっと指で持ち上げると白本の前に立ち言葉を続ける。 「……それで、僕から伝えたい言葉の意味はわかりましたか?」 白本はまっすぐに黒田を見つめ返し、意を決したように口を開いた。 「あぁ。サッカーもリバーシも、どっちも白黒の競技としてそれぞれ良さがあって、順番をつけられるものじゃない…… そう言いたかったんだよな」 黒田は黙ってうなずき、白本の言葉の続きを促した。 「あのパズルを見てて気づいたよ。最初のリバーシの問題は、結果的に最後は白と黒の駒は同数だった。次の問題はサッカーボールの横に白黒のアイテムが配置されて、そこに上下関係なんてなかった。最後の問題は白と黒は混ざった結果灰色になってた。……どっちが上だとか白黒はっきりなんて、つける意味なかったんだ。嫌なこと言っちまって、ごめんな黒田」 白本の心からの言葉に、黒田は口角を緩めた。 「いえ、僕の方こそつい意地になって、こんなパズル作っちゃいました。僕ね、リバーシも好きだけど、同じくらいサッカーも好きなんです。……今度、よかったらサッカー部の練習試合見に行っても良いですか?」 その言葉に白本はぱぁっと満面の笑みを浮かべた。 「おう、もちろん大歓迎だ! 俺にも今度リバーシの手ほどきしてくれよ! このパズル見てたらすげぇ興味湧いてきてさぁ!」 目の前で繰り広げられる和解に、ふわりはほっと安堵あんどの息をついた。 2人はそろってダベり部にお礼を言うと、仲良さそうに部室を出ていった。 再び2人きりとなり静寂に包まれる室内で、ふわりはふふっと声を漏らして笑ってしまった。 「あーあ、あの2人見てたら、卵料理のことでもめてるのバカらしくなってきちゃった」 「そうだねぇ、そもそもふわりちゃんが作ってくれる料理は何でも美味しいしねぇ」 「もう、お姉ちゃんはすぐそういう調子良いこと言って。明日の朝ごはんはお姉ちゃんに作ってもらうんだから!」 「え〜」 こうして、事件は解決した。 部室の中は、再びゆるくてふわふわとした穏やかな空気に包まれていた。 次のページへ