町の名物菓子を突き止めた私は急いでお菓子店に向かった。

 

「お！ さっきのお嬢ちゃん、答えがわかったのかい？ どれどれ……うん、正解！ ほんなら特別やで」

「本当にありがとうございます！ この店のこといっぱい宣伝します！」

「おおきに～！」

 

私は残念賞をもらうと、また急いで神社に向かった。

神社では清美とお兄さんが待ち構えていた。

 

「そうそう、これが欲しかったのよ！」

清美は福豆を受け取りながら言った。

「そっか、今日は節分だっけ」

引きこもっていたせいか日付の感覚が薄くなってしまっていたようだ。

 

「でもなんでそのおにいさんにぶつけるの…？」

「それはもう、本職なんで」

そう言っておにいさんが帽子を取ると、そこには立派なツノが生えていた。

「彼、鬼井さんっていうの」

「鬼井さん!?」

「鬼井です」

「マッチングアプリで知り合ったっていうのは？」

 

清美は境内にあるポスターを指さした。

「ま…… 魔ッチングアプリ？」

「この町は人間と魔物が共生してるの。だから節分とか肝試しの時期はこのアプリで本物を呼べるのよ」

「へ、へぇ〜…」

「かくいう私もからす天狗の子孫だしね」

もはや、これ以上何を聞いても驚かない気がした。

 

「それじゃ、気を取り直して」

清美は私に福豆をひとつかみ渡してきた。

「ええ、千代子さんも一緒に想いをぶつけてください！」

「せーの」

「鬼は〜外！」

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