「THE END…」
そう入力するよう機長にお願いをした。

どう考えてもバッドエンドの答えである。それを示唆するかのように飛行船から何かが、群をなすように落ちてくるのが見えた。

もう終わりだ… そう頭を抱えていると、会場から放送が流れた。それはさっきまで散々あなたを振り回した人物の声だった。

「お集まりの皆さま、これから楽しいショーが始まります。どうぞ外にお越しください。 Ladies and Gentlemen…」

しまった、外に出るために出入口の鍵は開けたままだ。ここには後輩とあなたの2人しかいない。これでは突破されてしまう… その場で声をふり絞る。

「今は危険なので外には出ないでください！ Don’t come out!!」

しかし、そんな叫びもむなしくホールにいた沢山の人が外に出てきてしまった。
あなたが再度叫ぼうと息を吸うと、あちらこちらから歓声が聞こえてきた。

慌てて振り返るとそこにはとある光景が浮かんでいた。

「何だ、これは…」

そこには地球を模した光の塊が表れていた。そう、落ちてきたあの謎の塊はドローンだったのだ。

その後、飛行船も無事制御を取り戻し、高度を上げ、本来の着陸地点へと戻っていった。
人々の命のために奔走したこの時間は、無事、みんなの笑顔へと変わっていったのであった。

20分間のドローンショーが終わると、拍手が沸き起こった。
あなたがあっけに取られていると「爆弾だなんて言ってないからね。じゃあ、またね！」とメッセージが届いた。

最後まで捉えどころのない、馬鹿にしたような態度に憤りを感じつつ、あなたの体と思考は、疲労とストレスで限界を迎えていた。
一気に体の力が抜けて、地面に腰を下ろすと、そのまま後ろに倒れ込んでしまう。

絶対に犯人を捕まえてやる… 薄れゆく意識の中であなたはそう決意を固める。

「先輩!? 大丈夫で…」

遠くで後輩の声が聞こえてきたところであなたの意識は途切れた。

数日後。

これらの事件を起こした犯人である「北斗 七生」が逮捕された。
会場から去って行ったドローンを追いかけ、逮捕に至ったそうだ。

調べに対して北斗容疑者は「有名になりたかった。昔、夜のテレビで見た演出にあこがれてやった。後悔はしていない」と容疑を認めており、これから余罪を追及していく方針だという。

一晩休んで回復したあなたは、今日もエキスポの平和を守るために監視室にいる。モニターには各国の要人たちが和やかに対話をする様子や、ゲストが楽しそうに島内を回る様子が映し出されている。
その中のひとつで、あの日あなたが救った飛行船が優雅に青空を漂っている。

おしまい

「多すぎる犯行予告からの脱出」を解き明かした！
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