あなたは大魔王にトドメの一撃をくらわせた。

ゴロクス
「うぁあああああ！　……な、なぜだぁぁ！　下等生物のお前に……このわしが……ど、どうして気がついた……く、くそぉぉぉおおおおお‼︎」

大魔王が咆哮しながら消えていく。
魔物の住処にいた魔物たちも一目散に逃げていった。

大魔王の姿が完全に消滅した瞬間、あなたの意識はガクンと落ちた。

それからどれほどの月日が経ったのだろう。なにやら辺りが騒がしい。
あなたはゆっくりと目を開けた。

「あ、意識が！　大丈夫ですか？　ここがどこかわかりますか？」

もやがかかったような視界が、何度も瞬きをすると徐々にクリアになっていく。
白い壁に、白いベッド、足早に入ってきた男は白衣を着ている。どうやら病院のようだ。

「よかった」「死んだかと思ったよ」「というか死んでたような気もするけど」

ベッドの周りには知った顔が安堵の表情を浮かべてこちらを見ている。
その瞬間、あなたは思い出した。
そうだ。リアル脱出ゲームを遊びに行く途中で、はしゃぎすぎて転んで頭を打ったんだった。
あなたはベッドから起き上がり、みんなに言った。

「心配かけてごめん。でももう大丈夫。謎解き、やりに行こう」

異世界で大魔王を倒した武勇伝は、ちょこっとだけ自慢して、あとは自分の中だけにしまっておくとしよう。