ここは仙台の駅前の小さなお土産屋さんです。
切り盛りする老夫婦の話が面白いと話題で、遠くからの来客もあります。
私は店先のショーケースで、あの日のことを思い出していました。

バス停へ移動する途中の道、私は主に気づかれないようにこっそりと中のモノを1個ずつ花の上に落としていきました。
「せ」「ん」「だ」「い」……女性が私のメッセージに気付いて、仙台駅に先回りしてくれることを願って。

仙台へ移動するバスの中、主はうとうととしていました。
主が眠りから覚めると、鬼の形相をした女性が立っていました。
私の願いは無事女性へ伝わったようです。

2人は長い間話し合いをしていました。そして、2人で一緒にこの街で暮らすことに決めたようです。

「おばあちゃん、このレトロな旅行かばんください！」
私を気に入ったらしい観光客が、女性へ声をかけます。
「ごめんね、それは売り物じゃないんだ」
「じゃどうして飾っているの？」
「旅行かばんに店番してもらっているんだよ。その旅行かばんはね、お話をしてくれるんだよ……」
もう何度目かの昔話を女性は披露をはじめました。
 

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おめでとう！ 見事に「とある旅行かばんの一生」を解き明かした！
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