Mystery for You 私が運命の人に出会うまで
手紙に覚えた違和感。
私はミツキに「ボールのキーホルダーを拾った」という話しかしていないのに、彼は手紙の中で、それを「サッカーボールのキーホルダー」と言い当て、電話を切った後に呟いた「運命の人」という言葉も…… まるですべてを知っているようだった。
そこで嫌な予感がした私は部屋の中を探し、ミツキがくれたクマのぬいぐるみに隠されたカメラと、コンセントに仕込まれた盗聴器を発見することができた。
そうなると、私が今から会いたい人は、決まっている。
あの交番にいる警察官だ。
慌てて交番へと向かうと、あの短髪の警察官が対応してくれた。
そこでカメラと盗聴器を見せて事情を伝えると、以前連行した大塚さんも無実の罪を着せられただけのようだということを話してくれた。
事情を伺いに、これからミツキの家に行こうとしていたらしい。
私はミツキが待っているであろう場所を伝え、そこに一緒に向かってもらうことにした。
危ないから交番で待っているようにとも言われたけど、私の身に何が起こっていたのかきちんと確認しないと気がすまない。
カラオケ店で、彼が待っているであろう部屋にたどり着く。
警戒しながらゆっくりと扉を開けると、「危ない!」という叫び声とともに警察官に右腕を強く引っ張られた。
よろけながら慌てて体勢を立て直すと、そこには驚いた様子でスタンガンを持つミツキがいた。
このまま部屋に入っていたら、スタンガンを当てられて、私は一体どういう目に遭わされていたのか……。
想像しただけでも、怖い……。
ずっと幼馴染で何でも知っていると思っていたミツキのことを、私は本当は何も知らなかったのかもしれない。
おびえる私に対し、泣きそうに悲しい顔をするミツキを、警察官が取り押さえる。
「ストーカー行為の容疑、および傷害未遂の現行犯で、署までご同行いただきます」
そう言うと、そのまま彼を連行して行った。
何も言わずにただ警察官に従って歩くミツキに、私はかける言葉が浮かばず、ただただその背中を見送ることしかできなかった。
そのまま私も警察署へと向かい、しばらく事情を聞かれた後、解放されたときにはすっかり辺りは真っ暗な夜になっていた。
警察署を出ると、そこにはあの短髪の警察官がいた。
「夜も遅いので、自宅までお送りします」
「もしかして、待ってくれていたんですか? 今日は、本当にありがとうございました。一緒にいてくださったから、とても心強かったです」
「いえ、お怪我がなくて良かった」
その言葉には聞き覚えがあった。
「そう言ってくれるの、これでもう3回目ですね」
最初に言われたのは、酔っ払いに絡まれたとき。次に言われたのは、鈴木さんとのデート帰りにこけそうになったとき、だ。
すっかり忘れてしまっていたが、彼の低い声を聞いているうちに、おぼろげだった記憶が鮮明になっていった。
「これ、あなたのですよね? あのときも、助けてくれてありがとうございました」
そう言って、サッカーボールのキーホルダーを警察官に手渡した。
「あぁ、これあのときに落としたんですね。こちらこそ、拾ってくださってありがとうございます」
屈託のない笑顔でこちらに笑いかけてくる彼を見ていると、やはりこの笑顔をどこかで見たことがあるような気がしてくる。
「あの…… もしかしてもっと以前にどこかで会ってますか?」
「あぁ、実は…… 覚えてなさそうだったんで、言わなかったんですけど、三橋さんと小学校のときのクラスメイトだったんです、俺」
「えっ!?」
「小学校3年のときに転校しちゃったから、覚えてないのも当然だと思います。多分、今と全然違うから……」
そう言われて思い出した。
小学校時代から雰囲気があまりにも変わっていて気付かなかったが、確かに笑顔はあの頃のままだ。
「だからずっと三橋さんに憧れてて…… あの日酔っ払いに絡まれているのを見かけたときは、ほんとびっくりして。昔のお礼というか…… 少しでも俺が役に立てたなら、ほんと良かったです」
「いえいえ、少しどころか、本当にずっと助けられっぱなしで……」
「はは、俺からしてみたら役得というか、こんな何度も遭遇できるから、なんか勝手に運命かも、とか思っちゃって…… いや、何言ってんだろ、俺。すみません、今のは忘れてください」
そう言うと、彼は少し俯いて照れたように笑った。
ほんのりと赤くなった彼の顔を見て、私も思わずほほえんだ。
これが、私が運命の人に再会した物語である。
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