トンネルの先の料理屋にて(10) 「こちら、ぎんなんです」 そう告げると、老人は穏やかな表情のまま首をふった。 「すまないね……これは、食べられないんだよ」 私は勢いよく頭を下げ、出口へと促うながした。 「申し訳ありません! お帰りは、最初にいた駅の方へどうぞ!」 老人は静かにうなずき、店を出ていった。 (……あと一人) 扉が開き、男の子が入ってくる。 「お姉ちゃんを、探してるんだよね?」 男の子の顔が、さらに不安にゆがむ。 機械が、低くうなるような音を立てる。 私は彼の話を思い出そうとした。 しかし、彼の話の中に答えはなかった。 (どうしたら……‼︎) 焦りに胸をしめ付けられたそのとき、厨房からナミちゃんの声がした。 「彼が生きていた頃ころの言動が、他のどこかに残されてたりしないかな?」 その通りだ。 人と人との人生は、思いもよらない場所で交わっているはずだ。 私は深く息を吸い、もう一度暗号に向き合った。 男の子が食べない食べ物: ※ひらがなで入力してください サラリーマンの言葉を思い出す 少女の言葉を思い出す 老人の言葉を思い出す 男の子の言葉を思い出す 男の子に何を提供すればいいかわからない 男の子の生きている頃の言動が記録されている可能性があるもの。それは「死後労働報告書」だ。事件の経緯に未就学児の言動について書かれている。これが、この男の子であると確定できる情報はないだろうか。未就学児が言っていた意味不明とされる言葉に注目してみよう。 さらにヒントを見る 男の子の名前が”しょう”であること。姉の名前が”おと”であること。お母さんのことを”カカ”と呼ぶことから、それぞれのセリフは「”しょう”が持つ」「”おと”あげない」「”カカ”との約束」と意味の通った言葉になるはずだ。ではお母さんとの約束とは何だろうか。 さらにヒントを見る 男の子とお母さんとの約束とは、少女の記憶の中にあった。それは「次の誕生日にはケーキをすべてお母さんにあげる」というものだ。日付を確認してみると、事件が起きた日はあさは姉弟のお母さんの誕生日と一致している。つまり、あさは姉弟が持っていた白い箱の中身は「誕生日ケーキ」が入っていたと考えられる。 答え 答えは「誕生日ケーキ」だ。